図1試験装置模式図図2装置の外観表1試験機特性圧縮装置(油圧)引張装置(ボールねじ)TFででくくだだささいい■近年,環境問題に端を発する自動車の軽量化や安全性向上といった観点から高強度鋼板の使用が積極的に行われている.鋼板強度が1000MPaを越えると複雑な形状へのプレス成形は困難になる.そこで,高温に加熱することで成形性向上と低スプリングバックを可能とし,1500MPaの強度を持つ部材を得るためホットスタンピングが実用化されている.著者らは,熱間平板引抜を用いた潤滑性評価試験機を開発し,SPHC鋼,ボロン鋼を用いて,ホットスタンピングにおける潤滑特性を評価できることを示した1,2).試験片の表面性状,金型の表面粗さ,潤滑剤が摩擦係数に及ぼす影響を調査し,熱間鍛造用潤滑剤を用いることで摩擦係数をドライの0.5から0.3まで低減することを示した1).試験機の特性上,引抜き速度と試験片の温度設定を独立して行えないこと,圧縮力の微調整が困難なことから,引抜速度や材料の変形抵抗と面圧の関係などの検討が十分になされておらず潤滑特性におよぼす個々の影響因子の検討が必要とされる.そこで低摩擦化技術,潤滑特性の影響因子の検討を行うために,個々の影響因子を分離した試験を可能とする熱間潤滑評価試験機を新たに開発し,引抜き速度,加工圧力,金型コーティング等が潤滑特性に及ぼす影響を調査した結果を示すとともに,潤滑剤の開発および鋼板のスケール厚さやめっき層が深絞り時のフランジ部における摩擦係数に及ぼす影響を,ブランクホルダに作用する水平力を測定することにより調査した結果を示す. ■■評価試験機の構成熱間潤滑性評価試験機の模式図,外観をそれぞれ図1, 2に示す.試験機は垂直圧力用の油圧アクチュエータ,通電ロール,張力装置から構成される.試験機の主な仕様は表1に示す.油圧アクチュエータにより負荷される押付け荷重の最大値は20kNである.出口側引抜き装置はボールネジ装置により駆動し,その最大値は10kNである.ロードセルにより押付け荷重Pおよび引抜き荷重TFが検出される.通電ロールは板材の走行に際し,ロールが走行速度と同じ速度で滑らかに回転することで安定した給電が可能写写真真位位置置■削削除除ししなないい1.まえがき2.熱間潤滑評価試験機の開発*東京電機大学 工学部 先端機械工学科 教授となっている4).ロール径は80mmで幅は25mmとした.上下ロール間にばねを入れ接触圧を調整できる.給電電源は5.0kW(最大600A)を用いた.工具には平行部長さ20mm,もしくは15mmで工具肩R5のSKD61を用いる. ■ 実験方法通電ロールの配置は圧縮工具を(a)挟み込むように設置する方法(図1)と(b)手前に設置する2通りの方法がある.(a)の方法では圧縮時に通電を停止する必要があるが均熱部が圧縮工具の直下にあるため,摺動温度を制御しやすい.(b)では,連続的に加熱された状態で試験を行うことがでCompression loadPTension loadTFStroke: compression, tensionTension speedVMax・20kNMax・10kN50mm, 300mmMax・30mm/sA. Yanagida通電ロール(移動可能)- 21 -Pホットスタンピングにおける潤滑特性とホットスタンピングにおける潤滑特性と影響因子の検討影響因子の検討因子の検討柳田 明*柳田明Report
元のページ ../index.html#23