FORM TECH REVIEWvol28
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図24摩擦面温度と摩擦係数μとの関係表2テーパープラグ通し試験と回転摩擦試験の条件図25摩擦速度と摩擦係数の関係x型65fFFZzFxFSCM420である.高周波加熱装置を用いて約830℃に加熱する.潤滑剤は, 水溶性の非黒鉛系潤滑剤を試験前に200℃の工具に塗布する.テーパープラグ通し試験より遅い速度領域をこの試験で補うため回転速度は,10, 100, 200 mm/sとした.(a) 摩擦面温度の影響■■■図23熱間回転摩擦試験と摩擦係数の算出■■■摩擦係数に及ぼすトライボロジー因子の影響摩擦係数が推定できるように実験とシミュレーションも併用した.表2に示すような範囲で,試験条件を変更してデータを収集し,重回帰分析した.対象としたトライボロジー因子は,素材の材料,型表面処理,型の表面粗さ,潤滑膜厚,摩擦速度,試験温度,面圧で,現場の鍛造を想定している.これらのうち,影響が強かったのは,試験温度,摩擦速度,潤滑膜厚の3項目について重回帰した代表データを以下に示す.摩擦面温度は数値解析の結果を参考に,試験片最表面の要素の温度を,接触面に沿って平均した.図24に摩擦面温度の摩擦係数への影響を示す.白色潤滑では900℃までは摩擦係数は0.12~0.17である.無潤滑では摩擦面温度によらず0.3近い摩擦係数を示し,白色潤滑より無潤滑のµは高い.900℃以降は温度上昇とともに摩擦係数が高くなっている.これは,試験片の最表面温度がこのくらい以上の場合には,潤滑剤のダメージが進むことを意味している.(b) 摩擦速度の影響それぞれの試験での摩擦速度ごとの摩擦係数を図25に速度が高いほど摩擦係数が低くなっている.今回の試験は錘によるので圧力は一定である.垂直応力や試験片の形状で決まる内圧のため,垂直圧力は速度によってあまり変化していない.一方で,凝着や焼付きを伴う無潤滑では,試験片のせん断変形抵抗が低いほど,摩擦係数が低くなる.高温の試験片は低温の型との接触によって,最表面の温度は低下し,変形抵抗も大きくなり,せん断抵抗が増える.一方,潤滑剤を塗布した場合には,無潤滑より試験片は断熱され材料温度は低下しにくく,せん断抵抗は上がりにくいと考えられる.また,摩擦速度が速いほど接触時間は短い.このことが無潤滑での凝着を減らし,潤滑剤のダメージも減らしたことも推察される.これは,実鍛造でも熱間加工には,下死点近傍で低速のクランクプレスより,短縮接触のハンマーやスクリュープレスが好まれることとも対応している.(c) 潤滑膜厚さの影響前述の図22テーパープラグ通し試験におけるストロー摩擦面温度:試験片側のCAE表面温度白色潤滑白色潤滑無潤滑熱間回転摩擦試験温度大でμ増加傾向熱間回転摩擦試験テーパープラグ通しテーパープラグ通し回転摩擦試験試験片:■■■■■■■■■ ■■■■■■■ ■■fff■■×■■■工具:■■■■■ff■■■■■■■■■■■■■ff■■■■■■■窒化試験温度:■■■℃潤滑剤:無潤滑,非黒鉛系潤滑剤回転速度:■■■■■■■■■ ■■■■■■■テーパープラグ通し試験試験片:■■■■ff高さ内径f■■■外径種f ■■■f■■,f■■工具:■■■■■ff■■■■■■■■■■■■■ff■■■■■■■窒化試験温度:■■■■■■■■■℃潤滑剤:無潤滑,非黒鉛系潤滑剤押し込み速度:■■■■■■■■- 18 -水平方向■■荷重⇒μ算出ロードセル高周波誘導コイル試験片摩擦速度大でμ減少傾向10

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