FORM TECH REVIEWvol28
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計合量出検AMPE図9内面しごき後の試験片表面のEPMA分析図10実機試験と内面しごき試験後のEPMA検出量の験試きごし面内OClSCaNaOClSCaNaOClSCaNaOClSCaNaOClSCaNaOClSCaNaOClSCaNaIGAHK0HGIK0図8に試験片内面の傷の発生位置,および周方向に焼付き傷の占める割合を示す.併せて,ストローク20 mmの荷重も示す.しごき率R= 16%, 21 %では,厳しい高速試験だけ実施した.S11.52.0R= 16%の時には,潤滑油H, Kで重度の焼付きが発生し,その面積割合も多い.これらに比べて,R= 16%の時にはA, G, Iの焼付き程度は軽い.以上R= 16%については,いずれの油の荷重の差は小さい.同粘度のVG200の荷重や傷の発生程度と比較しても焼付き防止に対して添加剤の効果が認められる.添加剤を含む潤滑油の間では荷重の差は小さく,いずれも傷の程度は軽い.次にしごき率Rを上げて試験した.さらにR=21%に上げると,それぞれの潤滑油で重度の焼付き傷となり,焼付きの占める面積割合も高く,荷重差も大きくなる.焼付きの程度が低く,荷重も低かったのは,S1であり,実機の結果とも対応していた.(ただし,塩素系Aについては,実機ベンチマーク当時は,短鎖の塩素系油を使用.内面しごき試験を考案後には,環境規制から製造中止で入手できず,中鎖の塩素系油を使った.) ■■実機試験とラボ試験での添加剤の応性の比較図9に実機試験と内面しごき試験のEPMA分析結果を示す.今回は酸素,塩素,硫黄,カルシウム,ナトリウムについて分析した.X線強度比はこれらの反応活性を反映している.また酸素は,反応生成物が酸化したことによる.どの元素ごとに比較しても,成形管内面しごき試験での反応量は実機に比べて少なく,検出量の序列は両試験で対応している.これらのEPMA分析によるX線強度比を単純に合計した値を,実機試験と内面しごき試験後で図10に比べた.実機試験の値が成形管内面しごき試験での値の2倍くらい高いが,両者のX線強度比の相関は強い.これは添加剤の反応の観点からも,両試験の相関関係が良好であることを意味している.(Hでの検出量が多いのは,擦過傷が多く,反応が進んだためと推定している.)内面しごきは実機の性能とも対応良好であり,第一次性能を経済的に判定できると考えられる.今後はこの試験機を潤滑剤の開発に活用したい. ■■ステンレス鋼の冷間しごき加工用潤滑油の開発例内面しごき試験で代表的な硫黄系添加剤の潤滑性能を評価した結果10)を図11に示す.ここで試験後の試験片内面粗さは試験片口元から周方向に測定した.内面粗さは焼付き傷の程度に対応している.しごき率R= 16%では,A以外ではあまり深い傷もない.R= 21%では,焼付きも発生し,長く擦った位置では傷が深くなっている.これらのうち,D(硫化油脂)では焼付きも軽かった.ステンレス鋼用の非塩素系油の開発にとって,これは有用な結果である.そこで,硫黄系添加剤の効果を安定して出すために,他の添加剤と複合して,潤滑性能を調べることにした.ここでは三元系添加油の内面しごき試験の結果10)を一例として図12に示す.しごき率R= 16%,21%で試験した.図中潤滑油検出元素の数字はストローク20 mmのしごき荷重で,これが低くければ,型と材料間の摩擦抵抗が小さいと言える.また焼付きの程度は3ランクに分けて,○と△は軽度な傷であった.実機試験(12段目1回目)EPMA検出量合計EPMA検出量合計:S, O, Ca, NaからVG200で検出されたOの検出量を引いた値0.51.0S1VG2001.00.5EPMAのX線強度比/%1.02.0内面しごき試験R=12%v=230 mm・s-1実機潤滑試験第12段目(1個目)- 14 -

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