数工加界限き付焼で験試機実×××××△×××▲0 G個DH00/EB1油滑潤表1に供試油の粘度と主な含有元素を示す.この時の成形は複数段の深絞り・しごき加工で,材料は加工硬化し,475 HVとなっている.材料の表面の粗さも1μm Rz 以下に低下し,平滑で,潤滑の助けが期待される油溜りの細かい凹部も減っていた. ■塩素系潤滑油Aを使うと,1000個連続試験後も製品表面には深い擦過傷は観察されない.潤滑油B~Mは非塩素系の潤滑油で,このうちG, D, E, Hは他より高い性能を示している.しかしこれらも潤滑油Aの性能には及ばない.塩素系潤滑油に代わる高性能な潤滑油が必要とされる当時図2は2005年頃に市販あるいは試作されていた潤滑各社MLKJIHGFEDCBA 図2■ステンレス鋼深絞り・しごき加工の実機試験 ▲▲表1■実機試験に供した潤滑油の粘度や成分系など 潤滑 油 A B C D E F GH I J K L M 図3■■EPMAによる硫黄S分の分析と焼限界個数の関係 2008004006002000150010005001000動粘度(40℃)主な成分系や含有元素従来の塩素系油剤(SUS加工用)硫黄系油剤+P+Ca+Zn硫黄系油剤+P+Ca+Zn硫黄系油剤活性硫黄系油剤(SUS加工用)油性剤+Ca+界面活性剤活性硫黄系油剤+有機物活性硫黄系油剤+固体潤滑剤鉱油+油性剤+有機物油脂硫黄系油剤硫黄系油剤+Ca不活性硫黄極圧剤エステル系油性剤S1■■■■検出量■■■の■線強度比■■る)は活性になって,材料の表面との間で反応生成物を形成する.その反応生成物やその表面への吸着物は,耐圧性・耐焼付き性に優れ,低摩擦を実現することも知られている. ■また,300℃までならセッケンは溶融して,低粘度油なみの低摩擦が得られる.冷間鍛造では材料表面の化成被膜,たとえばリン酸塩の上層に反応セッケンと未反応セッケンが付着し,高い潤滑性能を発揮している.最近では環境問題から,これに代わる非化成処理型潤滑被膜4)~6)も次々に開発され,それらの普及が進んでいる.これらを含めた最近の冷間鍛造用潤滑剤の技術動向7)について分かりやすく解説されている. ■二次成形では,切削仕上げを省略して,成形後そのまま製品になることも増えている.そのため製品の精度と表面性状の向上を狙って,冷間しごき加工で仕上げることも多い.仕上げの段階であるゆえに深い擦過傷を防ぐために潤滑油も使われる.この場合にも,同じように高性能で環境に配慮した潤滑剤が求められている. ■ ■ステンレス鋼の実機冷間しごき加工での潤滑性能■しごき加工では,くさび効果(図1)が潤滑原理である.しかし最終段階であるから,できるだけ潤滑油は少なくして,成形品の表面を滑らかに仕上げたい.それまでの塑性変形が加わって,加工硬化が進んでおり,材料は硬くなっている.変形発熱と摩擦発熱で材料の温度も上がっている. もし材料がステンレス鋼であれば,著しい加工硬化によって材料の降伏応力が高くなるので,工具面圧も相当に高くなる.ステンレス鋼の熱伝導度はアルミニウム合金や鉄鋼材よりも低いため,材料の温度も高いままである. さらにステンレス鋼は,表面に生成しているクロムの酸化膜によって錆びにくい特性を持つ.そのため,油の添加剤はステンレス鋼と化学反応しにくいので,十分な反応被膜をステンレス鋼の表面に形成することは容易ではないとされている.従来はステンレス鋼の成形には塩素系添加剤が用いられてきた.しかし塩素系添加剤は環境負荷が高いため,代替えの高性能添加剤が必要とされている. の実機しごき加工によるベンチマーク結果8)である. 焼付き△軽度,▲重度,×重度かつ鏡面加工数/mm2・s-11869111213019019419519819820020520721520000個以上A従来塩素系JIKLMFC0.5会社ごとに同じ記号の実態を示している.その後,硫黄系の添加剤が配合された高性能潤滑油S1が開発されたと聞いて,同様の実機試験を追加したところ1000個焼付きなく成形できた. ■そこで,これらの潤滑油を使った実機試験後の材料についてEPMAで表面分析を行った.この時は硫黄Sの反応量に注目した.SのX線強度比と焼付き限界個数の関係を図3に示す.このX線強度比はSの材料への反応量に相当する.焼付きが発生して現場の担当者が許容できない傷が製品 - 11 -
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