m2/g33.81.4μmm2/g4.60.8μm--層←←2.実験方法本研究では,レーザ焼結法を用いたマイクロ固体酸化物形燃料電池用電極膜形成技術の開発を目的とする.レーザ焼結法による電極膜の微細構造制御,電解質基板との密着性改善ならびに性能評価を行い,炉焼成膜と比較した.本研究では,一般的な動作温度800~1000℃のSOFC向けの電極/電解質材料を用いて実験を行った.表1に実験に使用した材料とその特性を示す.空気極用材料として,ランタンストロンチウムマンガナイト(株式会社ホソカワ粉体技術研究所製La0.8Sr0.2MnO3(LSM),平均粒径0.8μm,焼結温度約1400℃)を,また燃料極用材料には,ニッケル/YSZサーメット粉末(住友金属鉱山株式会社製SNZ-363,平均粒径1.4μm,焼結温度約1350℃)を使用した.それぞれの電極材料粉末を,高分子バインダ(エチルセルロース),エタノールを主成分とする溶媒と混合してグリーンペーストを作製した.このときグリーンテープ中のそれぞれの電極材料の割合は,LSMで約40~45 wt%(28~33vol%),ニッケル/YSZサーメットで約34 wt%(約77 vol%)とした.ここで,高レーザ出力条件においても多孔質膜の形成を促すために造孔材を導入した.造孔材は,焼結時や焼結後の熱処理や化学的処理による除去が可能で,強制的に気孔を形成できる.造孔材として,上記のLSMグリーンテープにポリメタクリル酸メチル微粒子(PMMA,平均粒径3μm)を,気孔率が20~30%程度になるよう,焼結後の膜に対して約24vol%加えた.図2に,使用したPMMA微粒子の示差熱・熱重量測定(TG/DTA)結果を示す.PMMA微粒子は,炉焼成またはレーザ照射によって約300℃以上に加熱されることで熱分解する.作製したペーストを,マスク印刷法を用いて電解質基板材料の8 mol%イットリア安定化ジルコニア(日本ファインセラミックス株式会社製8 mol%Y2O3-ZrO2(8-YSZ),50 mm×50 mm×t1 mm)上に塗布した.塗布後は,ペースト中の残留溶媒を蒸発させるために電気炉やホットプレートを用いて仮乾燥を行った.このとき,レーザ照射前のグリーンテープの膜厚を制御するため,印刷時のマスク(メンディングテープ)の膜厚(約22,50μm),乾燥温度(100~160℃)および乾燥時間(~90 min)を変更した.得られたLSMグリーンテープの膜厚は,10~80μmであった.仮乾燥後のグリーンテープにNd:YAGレーザからのレーザ光(波長1.06 μm,パルス幅0.6~2.0 ms,繰り返し周波数80 Hz,パルスエネルギ0.1~0.63mJ)を照射し,8-YSZ基板上に直接焼結膜を形成した.図3にGTLS法におけるレーザ照射方法を,図4にNd:YAGレーザ装置を示す.仮乾燥後の基板を,プログラム制御のXYステージ上のガスチャンバー内に設置し,大気もしくはアルゴンガス雰囲気下でレーザ焼結を行った.集光に用いたレンズの焦点距離は100 mm,XYステージの走査速度は0.17~16.7 mm/s(10~500 mm/min)とした.照射された各々のパルスのオーバーラップ率Rは,以下の式で導き出すことができる. 材料焼結/溶融温度比表面積平均粒子径図2表1実験材料と特性燃料極空気極(カソード)(アノード)LSMNiO/YSZサーメット1350℃1400℃PMMA微粒子のTG/DTA(TG:青,DTA:赤)図3GTLS法におけるレーザ照射方法図4Nd:YAGレーザ装置(1)電解質8-YSZ1500℃/3000℃- 100 -
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