FORM TECH REVIEWvol27
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λ(nm) 800 266 800 355 355 532 1064 〜2mm3/s, λ(nm) 1030 フェムト秒レーザー 5W,5000万円 ピコ秒レーザー 10W,5000万円 UVナノ秒レーザー 10W,1500万円 Greenナノ秒レーザ 10W,600万円 IRナノ秒レーザー 10W,400万円 図3 波長/パルス幅が、1064 nm/20 ns、532 nm/10 ns、800 nm/200 psのレーザーを用いて加工した試料の表面 (a)-(c)、裏面 (d)-(f)のSEM像 ーザーによる加工にもかかわらず表面では熱影響が見られる一方で,裏面では炭素繊維の露出は見られなかった.10ns /532nmの場合と同様に,底面の最後の樹脂層を多光子吸収で蒸発させるのに時間がかかりレーザーを過剰に照射したためと思われる. CFRPを貫通加工する際には,樹脂の吸収率の波長依存性を考慮した上で照射強度の最適化が必要であると言える.照射強度が高くなると熱影響領域が抑制されるというモデルが提唱されている10).パルス幅と波長の2軸に加えて照射強度の3軸目を設定することで,より完全なデータベースになると考えられる. 3.加工効率の考察 3.1 加工効率の物理的評価 前節では熱影響層の発現に関してパルス幅・波長依存性を定性的に評価したが,本節では加工効率の観点から依存性を考察する.様々なレーザーを用いた加工結果を定量的に比較するために,単位照射エネルギー当たりのCFRP除去質量で定義される指標(単位:mg/kJ)を加工効率として評価した.簡単のために, (i) CFRPの平均密度は1.5 g/cm3, (ii) CFRPの炭素繊維体積含有率は50 %, (iii) 炭素繊維に比べて樹脂を蒸発させるエネルギーは 無視できる, と仮定した. CFRP除去質量は加工試料の厚みおよび表面と裏面の切り幅,すなわち切断部分の断面積と長さから除去体積を求 100 fs 35 ps 200 ps 2 ns 10 ns 10 ns 20 ns Ref. 600 fs 12 8 ps 10 ps 10 ps 10 ps 13 14 14 14 表3 mg/kJを単位とした物理的なレーザー加工効率. τはパルス幅,λは波長,Pは平均パワー,Iは集光強度. τ 表4 文献中で示されたデータから評価した加工効率. 表5 各種レーザーのフォトンコストの評価. め,CFRPの平均密度を1.5 g/cm3と仮定して算出した.また,照射パワー(W)と加工時間(s)から加工に要したエネルギー(J)を求めた.得られた結果を表3に示す. また,自前の実験データだけでは波長とパルス幅が限定されるので,文献12-14)に掲載された値を元に加工効率を評価した.結果を表4に示す.表中でnotesの欄に文献中に記載されている物理量を示す. 表3と表4の値を視覚的に図4に示す.それぞれの円の面積は加工効率(mg/kJ)に比例している.照射エネルギーが全て炭素繊維の昇華に費やされた場合の理論限界値は45 mg/kJとなり10) ,図4の左下に参考値として破線で示している.また,10ns/532nmのデータは集光強度不足のために小さすぎる値が得られたと考えられるため,参考値として破線で示している.同様に,35ps/266nmのデータも,試作段階でのレーザーを利用したためにピコ秒レーザーとしては集光強度が低く,小さめの値になっていることに留意していただきたい. いずれにせよ,全体的な傾向としてパルス幅が短く波長が短くなるほど,加工効率が高いことが分かる.図2の結τはパルス幅,λは波長,Pは平均パワー. τ 出力,市場価格 万円/W 円/kJ 500 250 75 30 20 I (W/cm2) P (W) 0.2 2.0 0.4 45 43 3.0 3.0 P (W) 150 1030 1064 532 355 1.5k 23 14 10 8mm3/s/1.1kW 1mm3/min./W 1mm3/min./W 1mm3/min./W 2.7×1013 2.1×1010 2.7×1010 3.4×109 5.0×109 1.2×1010 1.4×109 mg/kJ 31 15 15 14 5.4 2.5 2.7 notes mg/kJ 20 6MHz 11 25 25 25 1000 500 150 60 40 - 91 -

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