FORM TECH REVIEWvol27
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*東京大学 生産技術研究所 教授接頭辞として利用されるサーボ(Servo)には、元々は「何かに従う」といった意味があり、転じて「(目標値・制御命令に)追従する」といった意味に利用されているようです。サーボモータを利用したプレスには液圧プレス、機械プレスの両者がありますが、サーボプレスと呼ぶ場合には機械式プレスを指しています。日本鍛圧機械工業会のホームページによれば、「サーボモータの駆動により、スライドの速度やモーション設定が自由にでき、部品精度、難加工材の成形、金型寿命、生産性の向上が図れるプレス」がサーボプレスとされています。サーボプレスは、スライドの速度やスライドの動きの、柔軟な、高い精度での設定を可能としています。この特徴を生かした新たな成形法の開発が盛んに試みられていることは、本誌の記事でも述べられている通りです。この特徴はサーボプレスのデジタル信号によるラムの位置速度制御に由来し、そのため、情報技術との高い親和性があります。この第二の特徴を利用することで、サーボプレスへの制御命令とプレスの実動作状況を、成形時の荷重特性や製品の寸法精度等の特性と紐づけすることが容易になることから、サーボプレスはIT時代の製造・生産にまさに適合した設備であると言えます。さらに、ラムを直接かつ間欠的に駆動するため消費電力量が少なく、交流サーボモータによる電力回生が可能で、環境調和性が高い設備であることも大きな特徴の一つです。この様な優れた特徴をもって日本で生まれたサーボプレスは、1990年代以後の鍛圧機械の世界をリードしてきましたし、サーボプレスの特徴であるフリーモーションを利用して、多くの研究成果や新製品、新たな工法が開発されてきました。サーボプレスは今までの20年余のあいだ、計算機の高速化やセンサーの発達、サーボモータの大容量化や高効率化と共に進化を続けてきています。一方で、サーボプレスが誕生して20年も経過していますので、今後の塑性加工を支える革新的鍛圧機械技術の実現が、従来に増して切望されています。天田財団は、今までの研究助成を通じて多くの研究者をサポートし、多くの有益な成果を公表してきました。天田財団の助成によって、今後の塑性加工技術を支える革新的鍛圧機械に繋がる研究成果が、産声をあげることを期待したいと思います。今後も当財団の研究助成を積極的に利用していただき新たな成果を創出していただくとともに、助成研究を通して若い研究者の育成が進むことを願っています。当財団の公益事業の推進に、一層のご助力とご支援をいただければ幸いです。- 7 -説苑サーボプレスの功績と今後の革新的鍛圧機械への期待柳本 潤*J. Yanagimoto

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