とCu薄膜が接合されていると考えられる.これは,塗布されたCu2Oナノ粒子溶液膜の膜厚は約300 nmであることから,ナノ粒子が数層積層されているにも関わらず,ライン状に残るCu2Oナノ粒子は単層であることから推察される.Cu薄膜上へのレーザ描画においては,低エネルギー条件において内部描画が可能であることがわかった.図4ガラス基板上へ塗布したCu2Oナノ粒子溶液膜の(a)紫外・可視吸収スペクトルと(b)その写真.図6にラインパターンの幅とレーザ描画速度の関係を示す.パルスエネルギーを0.023-0.117 nJとしたとき,0.078 nJ以下ではすべての描画条件において,レーザスポット径以下のラインパターンが得られた.図4(a)の吸収スペクトルと,回折限界以下のラインパターン幅が得られた結果から,フェムト秒レーザパルスに誘起されたCu2Oナノ粒子の非線形的な光吸収が生じていると考えられる.図5ラインパターンのFE-SEM画像.(a)ガラス基板上のラインパターンと,Cu薄膜上のラインパターンのうち(b)高エネルギーと(c)低エネルギー描画条件. ensLudar2e/1htdwiii3・2吸収特性Cu2Oナノ粒子膜の紫外可視吸収特性を評価した.図4に吸収スペクトルを示す.近赤外フェムト秒レーザ波長780 nmにおいては吸収が小さく,その半波長以下で大きな吸収を有することが分かった.このことは,フェムト秒レーザパルスが誘起する非線形光吸収により,回折限界以下の加工分解能,内部描画の可能性を示唆している.3・3描画線幅特性レーザ描画条件と,描画形成されるラインパターンの幅の関係を調べた.図5に代表的なラインパターンのFE-SEM像を示す.図5(a)はガラス基板上のパターン,図5(b),5(c)はCu薄膜上のパターンであり,描画条件はそれぞれ,パルスエネルギー0.117,0.059nJ,描画速度100µm/sとしたときのものである.ガラス基板上においては,すべてのパターンで溶融し,焼結部も合わせた線幅はスポット径以上となった.一方,Cu薄膜上に塗布したCu2Oナノ粒子溶液膜へラインパターンを描画した場合,照射エネルギーの大きな描画条件においては,レーザスポット部の溶融部とその周囲の焼結部が見られた.一方で,低エネルギー条件では溶融せず,1層目のCu2Oナノ粒子のみがライン状に残った.このことから,ガラス基板上への描画の場合,Cu薄膜/ガラス基板上と比較して,熱伝導率が低いためにレーザ照射中に熱蓄積が生じ,レーザスポット中心部において溶融が生じた考えられる.一方,Cu薄膜上へのパターニングの場合,Cu薄膜の熱伝導率が高いために熱蓄積が抑制でき,更にCuと誘電体Cu2Oナノ粒子の間に局在的な電場増強が生じることによって,Cu2Oナノ粒子(a)(b)(a)(c)(b)Cu-sputteredfilmCu-sputteredfilmCu-sputteredfilmCu-sputteredfilmGlass substrateGlass substrate1 µm1/e2radius500 nm1/e2radius500 nm- 86 -
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