写写真真位位置置 削削除除ししなないい 図2 Er添加ZBLANガラスのエネルギー準位図 図1 超短パルスレーザの波長と光ファイバ損失特性 一方,およそ2 μmを超える長波長域においては,効率が低く高出力化が困難な波長変換レーザがあるのみで,加 ででくくだだささいい の高い高出力レーザ光源が産業,医療などの様々な分野で実用に供されるようになった.レーザ光源への要求は益々高度化・多様化しており,高出力化,短パルス化,高効率化,新波長帯開発など,様々な研究開発が行われている.本研究では中赤外域における新波長帯開発に注目した. 近年の携帯電話,太陽電池,MEMS等の製造に不可欠となっているレーザ微細加工に適したパルスレーザを例にとると,加工応用に必要なおよそ0.1 mJ以上のパルスエネルギーを実用的な装置規模で得られるパルスレーザとしては,0.8 μm帯のTiレーザ,1 μm帯のYbレーザ,1.5 μm帯のErレーザ,2 μm帯のHo及びTmレーザが挙げられ,これらの波長の2~4倍高調波もしばしば用いられる.したがって0.2~2 μmの波長域では,多用途へ応用可能な実用光源がそろっている(図1). 工用途において実用的な光源は未開発である.長波長レーザの実用化が難しい背景として,適切な固体レーザ媒質がないこと,石英等の一般的な光学ガラスの赤外吸収端を超える波長であること(図1)が挙げられる.しかし,中赤外コヒーレント光に対する要求は医療・産業の分野で特に大きく,その高い有用性が広く認識されている.例えば,3 μm付近のOH基への高い吸収性を利用した潜在的応用が多数ある.中赤外域の実用光源の不在は,そのような応用技術の発展の障壁となっている. 1.まえがき 固体レーザ技術の進展により,小型・高効率かつ信頼性*大阪大学 レーザー科学研究所 講師本研究では,中赤外域の短パルス・高平均出力・高効率・全固体レーザの実用化を目指し,中赤外2.8 μm帯でレーザ利得が得られるエルビウム添加フッ化物ガラスファイバに着目し,同波長帯のパルス発振ファイバレーザに関する基礎研究を行った.本稿では、狭スペクトル幅ファイバレーザ,Qスイッチパルスファイバレーザ,モード同期ファイバレーザの実験結果について報告する. 2.Er添加フッ化物ファイバレーザの特徴 フッ化物ガラスファイバはフォノンエネルギーが小さく,およそ4 μmまでの透過帯域を持つため,中赤外レーザや可視から近赤外域の高発光効率レーザの増幅媒質として有用である.およそ2 μm以上の波長で実用的な透過率を持たない一般的な石英ガラスファイバと比べ,フッ化物ファイバは著しく広い透過帯域を持つ.一方でフッ化物ガラスは,潮解性,低融点,低機械強度いった特性を持ち,光学特性以外の面で石英ファイバ等の酸化物ガラスファイバに大きく劣る.これらの欠点を被覆や放熱の技術により補うことが必要である. フッ化物ガラスにはZrF4系,AlF3系,InF3系などいくつかの種類があるが,一般的にはこれらのフッ化物を主成分とし,副成分としてアルカリ土類金属のフッ化物を添加して合成される.それらの中で光ファイバとして標準的なものは,ZBLAN(ZrF4–BaF2–LaF3–AlF3–NaF)と呼ばれるS. Tokita- 60 -新加工用光源としての中赤外高出力新加工用光源としての中赤外高出力 ファイバレーザの開発ファイバレーザの開発 時田 茂樹*時田 茂樹 Review
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