近から1mm付近まで,0.1s,1sの両停止モーションとも,100%一定モーションより速度が低かった.これは,4mmでの停止に向けた減速区間とその後の再起動による加速区間が必要なためである.素材と金型の熱移動に及ぼすスライド速度の影響は大きく,それによる素材の熱収縮は大きいと思われる.寸法精度の向上を達成するためには,このような実際のスライド動作を把握することが非常に重要と考えられる. ■成形品の内径の測定結果を図11に示す.なお図中,縦軸は成形品の底部を0mmとしてその高さを示し,本研究では,高さ方向の直径の差が小さい場合に寸法精度が良いものとして評価した.図11(a)より,減速モーションを除く他のモーションでは,内径は,底部(高さ5mm)から端部(高さ21mm)に向かって徐々に大きくなることがわかる.また,20%一定モーションと比較して,100%一定モーションでは,底部から端部のいずれにおいても内径が小さかった.これらは成形時の加工発熱に応じた加工後の熱収縮が原因と考えられる.一方,減速モーションでは,高さ方向に対する直径の差が他のモーションに比べて小さく,下死点上5mmの減速モーションでは内径の差が小さかった.停止モーションでは,0.1s,1sともに高さ方向に対する直径の差が大きかった.また,外径についても同様の傾向が確認できた3).これらは成形中の素材温度に起因するものと考えられるが,詳しくは次項で考察する.以上より,スライドモーションが製品寸法精度に及ぼす影響は大きく,スライドを適切に制御することで高さ方向の直Fig.10 Slide speed of various slide motion patterns used in this study Fig.11 Variation of inner diameters of impact extruded cup : (a)experimental, (b)calculated (a) (b) Fig.12 Effect of slide motion patterns on maximum Fig.13 Distribution of work piece temperature as pass though the punch shoulder (calculated) work piece temperature (calculated) - 43 -
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