λρcp型材料の熱伝導率が低いほど荷重が低く,金型材料にZrO2を用いた場合では,他の金型材料を用いた場合と比較して,SUS304,TW340ともに,どの速度条件においても荷重は低かった.また,素材により荷重に及ぼす圧縮速度の影響は異なり,SUS304では0.1mm/sにおいて,TW340では1.0mm/sにおいて,金型材料にZrO2を用いることで,荷重を大きく低減できた.SUS304とTW340の熱伝導率はほぼ同等であることから,素材の温度伝導率が荷重の低減に影響を及ぼすと考えられ,温度伝導率が低い材料ほど荷重低減効果の大きい圧縮速度は低いと思われる. 以上より,断熱効果の高いZrO2は,加工時の発熱を成形に利用するのに有効な材料であることがわかった. ■4.断熱工具を用いた円筒深絞り加工 次に,上述の発熱による荷重低減効果を実成形において検証するために,SUS304の円筒深絞り加工において,熱伝導率の低いZrO2を金型材料に用いることや,断熱フィルムを素材に貼付することを検討した.また,加工誘起変態に及ぼす成形温度の影響を調べるために,成形品の残留Chamber (Vacuum atmosphere) specimen 8×12 Aluminum foil Fig.1 Schematic illustration of experimental apparatus for compression test Fig.2 Variation of compressive load in each case :(a)SUS304, (b)TW340 (stroke 7.2mm) Thermocouple Upper die 20×10 Mica sheet 20×0.2 Lower die 20×10 Table 1 Thermophysical properties of specimen and die (a) SUS304TW340A5052SKD11ZrO2StelliteWCオーステナイト量を調べた. ■■■■実験方法■■■■■■■供試材料および工具■供試材料には公称板厚1.0mmで,直径80mmに打抜き加工を行ったSUS304板を使用した.室温から150℃までで引張り試験を行った結果を図3に示す.室温から150℃までの間で,引張り強さ,および,全伸びは大きく低下した.これは,鋼材等で一般的に見られる温度依存性(温度が高いほど強度が下がり伸びが上がる)とは異なる. 潤滑油はプレス油(豊国石油㈱製A101)を用い,素板の両面に塗布した.工具には,SKD11製の平頭パンチ(外径40mm,肩R=4mm)と,SKD11製およびZrO2製(冨士ダイス㈱製FCY20A,熱伝導率;5W/(m・K))のダイ(内径42.5mm,肩R=8mm)およびしわ抑えを用いた.また,素板両面に厚み0.055mmの表面保護テープ(トラスコ中山TSP-510B,熱伝導率0.2W/(m・K)程度,以降,フィルムと称す)を貼付することにより,SKD11製の工具を使用した場合でも,工具への熱移動が抑制できるのかを調べた.■■■■■ ■試験機器および試験条件■ThermalSpecific heatDensityconductivity[J/(kg・K)][kg/m3][W/(m・K)]16.316.713829.33.015.041.9502522963460500381250(b) Thermometricconductivityλ/(cp・ρ) 10-6[m2/s]8,0304,5002,7007,8006,0008,50013,9004.07.153.18.21.04.612.1- 39 -
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