FORM TECH REVIEWvol27
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7. 軸付きフランジ部品への応用9) 7.1 荷重振動圧縮による軸へのフランジ成 図17 荷重振動ありとなしでr = 62%の段差成形後のステさ深けひ 図18 段差成形におけるひけの深さとフランジ圧縮率の 図17に荷重振動ありとなしで段差成形したステンレス合金板の断面を示す.荷重振動なしでは,潤滑剤塗布も浸 図16 ステンレス合金円板の段差成形に用いた金型と潤 ]h[ h 6. 板鍛造における欠陥の抑制8) 図 18に段差成形における底に生じたひけの深さとフランジ圧縮率の関係を示す.振動なしでは浸漬も塗布もr = 50 %で底部ひけが発生している.塗布・振動ありではr = 55 %以上でひけが生じたが,浸漬・振動ありではr = 62 %までひけが生じていなく,ひけの生じない限界圧縮率が向上している.また,潤滑剤を浸漬しても荷重振動を行わないと摩擦低減効果は得られていない. mm形方法 幅に低下しており,rf= 70%で比較した場合40%程度の荷重低減効果が得られている.下死点から2 mmにおいての平均スライド速度はクランクモーションで10 mm/s,振動モーションで1.4mm/sとなっており振動モーションの圧縮速度が小さくなっているが,冷間であるためひずみ速度依存性はほとんど無く,サーボプレス機での速度領域においても荷重振動による摩擦低減が有効である. 板鍛造ではプレス成形と異なり,材料流動が大きくなるため,鍛造に見られる“ひけ”などの欠陥が問題となることがある.前章までは,比較的均一な変形において荷重振動を検討したが,ここでは,不均一な変形において荷重振動による自動再潤滑がもたらす効果について検証を行った.図16にステンレス合金円板の段差成形に用いた金型を示す.ここでは自動再潤滑の効率を高めるために,図16 (b), (c)に示すような,板材を潤滑剤中に浸して成形を行う潤滑剤浸漬成形も行った.潤滑浸漬では,潤滑剤が常に板材周囲に保持されるよう粘土によってシールをした.また,板材のズレ防止のために荷重振動における除荷は90%とし,押込みストロークに対して等間隔に10回行った.潤滑剤は水溶性潤滑剤SE-65CP(スギムラ化学工業)(株))を精製水で33%に希釈して用いた.加工前の板厚から圧縮された割合の圧縮率rに対して,潤滑剤浸漬と塗布の結果を比較した. 平面型(SKD11)板材:SUS430t = 3.0 mmリング型(WC -Co)板材粘土滑浸漬成形方法 漬も凸部にだれ,底部にひけが生じている.一方,荷重振動ありでは,潤滑剤塗布においては,ひけの深さが小さくなっており,潤滑剤浸漬では,ほとんどだれやひけを生じていない.段差付け加工をではフランジ部の材料の一部が凸部分に流動するが,フランジ部の摩擦が高いと凸部に流平面型粘土リング型潤滑剤入する材料が増える.また,ダイス角部では高い摩擦のために凸部中央と凸部側壁近傍で持ち上がる量に差が生じる.その結果,底部にひけや凸部上面にだれが発生する.振動ありでは振動なしに比べ,凸部上面のだれや底部のひけなどを低減することができている. (a)浸漬,振動あり(b)浸漬,振動なしンレス合金板の断面 関係 圧縮によって軸にフランジを成形する場合,フランジが薄くなると板鍛造同様に摩擦の影響が大きくなってしまう.そこで,荷重振動を応用して荷重の低減を試みた.図19に荷重振動を用いた圧縮による軸へのフランジ成形方法を示す.軸の端部および中間部に据込みよってフランジを成形する.ダイス内に素材を挿入し,ダイス上面から突き出した部分を平面の上型で圧縮することによってフランジを成形する.まず,荷重振動なしですえ込みによって段差付け(b)塗布,振動あり(d)塗布,振動なし(a)(b)14 10 (c)0.50.40.30.20.10102030402mm振動なし振動あり潤滑剤浸漬スポンジ塗りフランジ部圧縮率r[%]506070- 26 -

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