図8 α = 75%における荷重振動前後の有限要素シミュ率積面触接図10 Ff = 200 kN, n = 4における素材と工具との接触面 100Ff = 200kN, n = 4において3回目の荷重振動で素材を一度取りだし,潤滑剤を脱脂洗浄した.再び荷重を負荷して4回目の荷重振動直前に腐食液を素材周囲に満たし,対応する荷重まで減少させて10分間保持して腐食液が侵入した部分を腐食させ,腐食液を洗浄して乾燥させてから素材を取り出した. ]%[0 図11 荷重振動による自動再潤滑のメカニズム 4.2 腐食実験による再潤滑の検証と定量的調査7) (a) 除荷前腐食4.3荷重振動による自動再潤滑メカニズム7) 荷重振動による自動再潤滑のメカニズムを図11に示す.(a)除荷前負荷板材:塑性変形計算除荷率α[%]板材金型: 弾性変形凹形状除荷金型潤滑剤凸形状(b) 除荷中実験潤滑材の浸入潤滑材金型: 弾性回復隙間戻り,完全に荷重を除荷しなくても素材周辺部に隙間が生じる. 板材圧縮板レーションの変形形状 有限要素シミュレーションでは,荷重振動によって圧縮工具の弾性回復により素材周辺部に隙間が生じたが,この隙間を実験においても確認した.潤滑剤の代わりに腐食液を用いて,隙間に腐食液を入り込ませて,素材を腐食させることによって隙間を検証した.腐食液には3%水酸化ナトリウム水溶液を使用した. 腐食された素材端部を図 9に示す.(a)α = 0%では素材周辺部は腐食されていないが,(b)α = 25%では周辺部にわずかな腐食が確認できる.隙間ができて腐食液が浸入し,リング状に腐食されている.(c)- (e)のようにαが増加するとともに腐食部分は内側に大きくなっている 腐食液付与3%NaOH(c) 50 %(e) 90%図9 腐食液が浸入して腐食された素材表面端部 (a) α = 0 %(b) 25 %(d) 75%14μm(b) 除荷後荷重振動における腐食された領域から求めた素材の接触面積率と除荷率の関係を図10に示す.除荷率が大きいほど隙間は大きくなって,接触面積率は小さくなっている.α =90%では接触面積率は20%まで低下しており再潤滑が非常に大きくなっている.有限要素シミュレーションによる計算結果と実験結果はほぼ一致しており,図5の荷重低下率と除荷率の関係とよく対応している. 積率と荷重除荷率の関係 薄板の圧縮加工では,中心部が高い面圧分布になって加工中の圧縮工具は図11(a)のように中央部分が凹んだ形状に弾性変形し,素材は凹形状工具によって圧縮されたことになり,凸形状に塑性変形される.荷重減少時に凹形状の圧縮工具は図11(b)のように弾性回復で平坦形状に戻るが,凸形状に成形された素材は弾性回復が小さく,素材周辺部に隙間が生じる.隙間が生じると周囲の潤滑剤がこの部分に入り込むため,素材表面は自動的に再潤滑される.加工とともに潤滑性能は低下するが,すべりが大きい周辺部が再潤滑されることによって荷重が大幅に低減できる. 軸対称圧縮加工のスラブ法から平均摩擦係数を近似的に計算した.板厚はストロークから求めており,負荷荷重から金型の弾性変形量を補正して素材中央部の板厚とし80604020- 24 -255075100
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