4.パルスモーション適用板鍛造での材料変形特性評価い応力緩和による転位拡散が促進されたため,成形限界が大きく向上したと推察できる.これらに対して,板厚0.03mmの試験片では,板厚に対して表面あれが支配的となり,加工硬化の度合いに依らず表面あれを起点とした割れによって破断するため,応力緩和による成形性向上効果が大きく低減したと考えられる.図12 各種モーションによる張出試験での成形限界時の主ひずみの比較(a)等2軸の場合(b)単軸の場合図13 板厚0.05mmと0.03mm材の破断面観察部分的に冷間鍛造技術を利用する板鍛造に関して,サーボプレスを用いた際のスライドモーションが荷重や寸法精度に及ぼす影響を解析と実験により調査した.4・1 実験・解析方法供試材は板厚t0= 3.2mmの軟鋼SPCCを用いて,長さ80mm,幅20mmの長方形に切り出したものを使用した.加工条件として長さ80mmの先端15mmをプレスで1.6mm(板厚の50%)圧下した.潤滑剤はVG-100を用いた.また,スライドモーションは,図14(a)に示す通常のプレス機と同様のCrank motion (加工速度5spm,50spmの2種類C5,C50),図15 (b)の振動荷重であるパルスモーション(加工速度50spm,表3に示す5種類P1~P5),図14(c)のクランクモーションの下死点で一定秒保持するキープモーション(加工速度50spm,下死点での保持時間2秒,10秒の2種類K2,K10),図14(d)のパルスモーションの戻し量を0mmとしたステップモーション,図15(e)のパルスモーションの振動を除いて圧下したソフトモーションとした.ただしステップモーション,ソフトモーションは対応するパルスモーションのPnに応じてSt(Pn),So(Pn)と表す.解析はFEMソフトのsimufact. formingを用いた.解析条件を表4に示す.4・2結果および考察実験後の試験片を図15に示す.すべての試験片の被圧図14 各種スライドモーションの概略図表3パルスモーション条件表4解析条件- 19 -
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