7.割れ・欠陥回避 有馬ら14)は,従来の鍛造工程では割れが発生した部品 坂口ら11)は,冷間鍛造のボンデフリー化の試みとして, 6.材料流動制御 ギヤを据込み形式で鍛造する場合には,刃先部分に材料図12 背圧を利用したハブの鍛造 き,そこに自動的に潤滑剤が導入されることで潤滑剤切れを防ぎながら加工が進行するため加工荷重が低減する.これを自動再潤滑と呼び,焼付き,金型破損の防止,寸法精度,平坦性,表面性状の向上が実現できる. 図9 自動再潤滑のメカニズム 図10加工油を用いた鍛造事例 サーボプレスによるパルス鍛造により摩擦抵抗を低減して内スプライン加工を行った.スプラインパンチへの凝着を抑えるため放電加工ではなく旋削加工とプロファイルグラインダーによる研削を行い表面粗さは0.27μmに仕上げた.表面処理として微粒子ピーニング処理後にFUPCコーティングした.加工油は硫黄系潤滑油を使用しパルスモーションによりスライドを上下運動させることで界面に潤滑油が滞留し凝着が抑制され図10のような鍛造品の製造を可能にした. 充填なされないままで密閉状態に近づくため荷重が急増し金型が破損する.複動のサーボプレスにより分流法を用いてその欠肉部を充填させる方法が試みられている12).金ら13)のサーボプレスは上パンチ(メインスライド)と上スリーブ(上ダイクッション),下パンチ(メインダイクッション)と下スリーブ(サブダイクッション)の4軸がそれぞれ独立に動くプレスである.図11に示すように第1段階は上下のパンチとスリーブによる据込み加工である.第2段階では,上パンチと下パンチが後退しそこに空隙を作ることで分流を生じさせ上下スリーブのみによる歯形部の据込み時の材料充填を容易にしている.同様なプロセスでヘリカルギアの鍛造も試みられている. 図11 分流鍛造法を利用したギアの冷間鍛造 をサーボプレスとサーボダイクッションを用いて1工程で加工した(図12).ここではサーボプレスのスライドの加工速度を加工中に可変し,サーボダイクッションの動作モーションと連動させてサーボダイクッション圧を用いて静水圧を付与して押出し軸とフランジ部のつなぎに発生する割れを防ぎながら材料流動を制御した.従来の多工程で生じる大きな加工硬化のための中間焼鈍やボンデ処理を省き,多工程の加圧によるプレスの大型化を抑えると共に金型費の大幅な削減につながった. いたが,パンチやダイの磨耗がひどく3,000〜4,000ショットでメンテナンスが必要であった.サーボプレスにより8.金型寿命向上 図12の部品を従来はナックルリンクプレスで鍛造して- 12 -
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