FORM TECH REVIEWvol27
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冷間型鍛造製品の精度は,加工中の金型の弾性変形,材 図5 内スプラインギアの工具形状 図6 設定したスライドモーション 図7 内径(小径)の高さ方向分布 図8 歯すじ誤差 図3 高張力鋼板のハット型絞り曲げ部品 (アイダエンジニアリグ(株)) 間安定した精度を確保して高精度な製品を製造することが可能である.図4の部品例では,ピン高さのバラツキを54%減少でき,段取替時間の削減と高精度化の両立に貢献している7). 図4 押出しピンの高精度化 ((株)坂口製作所) 料の弾塑性変形,塑性発熱の冷却時の熱収縮などが影響する.著者らは後方押出しカップ成形で,製品の内外径の高さ方向分布精度に振動モーション(パルスモーション)が有効であることを報告している8).さらに,内スプライン鍛造における内径と歯すじ誤差に及ぼすスライドモーションの影響を調査している9).図5に評価対象とした後方押出し鍛造内スプライン成形品とパンチ形状を示す.供試材はアルミニウムA6061,低炭素鋼S10Cであり,それぞれ固体潤滑であるアルボンデ処理,ボンデ処理を施した.スライドモーションは機械プレス本来の動きであるクランクモーション(50spm),パルスモーション,パルスモーションとプロセスタイムが同じ下死点静止(1.8s)とした(図6). 図7は内径(小径)の高さ方向分布であり,パルスモーションが他と比較して均一であり,アルミニウム合金の鍛造でその効果が大きいことがわかる.図8の歯すじ誤差もパルスモーションで小さく,熱変形の精度に及ぼす影響が大きいことが解析結果から説明されている. 5.荷重低減 前野ら10)は,振動モーションによる再潤滑について報告している.図9に示すように,すえ込み加工時にスライドを振動させることで除荷時に工具と材料間に隙間がで- 11 -

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