❶❶❷❷❶レーザー光源や駆動装置などで構成された実験装置/❷ステッピングモータコントローラなどの測定装置/❸移動してきて1年目の実験室の整備はこれから❸❸ゲルマニウム受発光素子の開発に貢献に0と1が重ね合わさった状態を量子ビットとして用いること100万量子ビットの量子もつれ状態が実現されており、その浸透することで、私たちの暮らしは劇的に変化すると予想されます。あらゆる情報がネットワークを通じて瞬時にクラウド上のサーバーに蓄積され、その大量の情報が瞬時に処理され、個人、企業、国境の壁を越え、リアルタイムに情報が飛び交う時代になろうとしています」。 「その結果、ネットワークに接続するデバイスの指数関数的増加は、膨大なエネルギーを消費します。特にデータセンターの電力消費量の増加は、世界的な問題となっています。加えて、これらの情報セキュリティ対策も重要な課題となっています。光通信技術を効率的に電子デバイスと融合する技術は電力効率の大幅な向上により、急速に増加する情報量への対応が可能な処理能力を提供できる潜在力を持ち、これらの課題を解決へと導く技術革新の鍵として期待されています」(志村教授)。通信は、エレクトロニクスで発展してきた微細加工技術を取り入れることにより光デバイスの集積化を進め、コンピュータラック間、さらにはコンピュータボード間へと広がり、電気配線を置き換えることでエネルギー消費の低減に貢献してきました。現在はチップ間、さらにはチップ内のコア間への光配線が検討されており、通信の高速化や超低消費電力化の実現が期待されています」。 「一方、デバイスの微細化や素子構造の3次元化などによって高性能化を実現してきたエレクトロニクスも、その限界を迎えつつあると考えられ、ブレークスルーが求められています。その第1候補が量子コンピューティングです。量子的で、現在のコンピュータよりも圧倒的な高速計算が可能になります。量子ビットを実現する手法として超伝導を用いた手法などがありますが、光子を利用した手法はすでに室温で優位性が示されています。現在は、実証から実用に向けてSi基板上での集積化が検討されています」。単結晶GeSn細線の作製と、その電子デバイス応用に向けた基礎的研究開発 「従来、長距離の伝送技術として発展してきた光ファイバ 「さらに、光を用いた長距離の量子暗号通信はすでに実用段階であり、情報セキュリティの分野で必須の技術になろうとしています。しかし、エレクトロニクスの基盤材料であるSiは間接遷移型の半導体であるため、光源材料として用いることはできません。一方で、光通信で光源材料として用いられているⅢ-Ⅴ属化合物半導体はSiに対しドナー/アクセプタとして作用するため、Siプロセスとの整合性に問題があります。技術的には実現可能ですが、生産工程まで考えると大きな課題があり、現在は外部から光を導入したり、光源部分を接合することによりデバイスを形成しています」。 「Siプロセスと整合性の高いⅣ族材料で光源が実現できれば、光電子融合デバイスの破壊的なイノベーションを引き起こすと考えられます。その要となる材料がゲルマニウム(Ge)です。GeはSiと同じⅣ族元素であり、かつ間接遷移型半導体ですが、γ点とL点の伝導帯下端のエネルギー差れています。さらに、引張歪みの印加や同じⅣ族元素のSnの添加によりその差は小さくなり、ついには直接遷移型半導体に遷移することが知られています。そのため、世界中でGeを用いた発光素子の開発が進められています」。 「しかしながら、レーザー発振はするものの低温条件下や、レーザー発振のしきい値が非常に大きいという問題があります」(志村教授)。 志村教授はレーザー溶融結晶化という独自の手法により、単結晶GeSn細線の作製とその電子デバイス応用に向けた基礎的研究開発を行ってきた。このGeSn細線のPL測定による光学特性計測では、Ge基板に比べ100倍以上の発光強度の増加を示した。これは低温のCVDやMBEで形成したGe(Sn)に対して2000倍の発光強度に相当し、本手法で形成したGeSnが高品質結晶であることを示している。本研究は、レーザー溶融結晶化による結晶成長プロセス現象の理解とその制御、この手法により形成した単結晶GeSn細線による室温動作、低しきい値でのレーザー発振を実証することを目的としている。は137meVと非常に小さく、擬直接遷移型半導体とも呼ば9
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