2件の招待講演も行われたイシューの解決につながるイノベーションを本年度からの新たな取り組みとその効果今回の助成に関する総評を述べる創価大学・渡辺一弘名誉教授(天田財団評議員)電気通信大学・久保木孝教授が「V曲げ加工金型の長寿命化に関する研究」と題した招待講演を行った助成式典の後に行われた交流会で、乾杯の挨拶を行う職業訓練法人アマダスクール・福井幸弘理事長現するシステムの提供、お客さまの生産現場を支えるための社員のエンジニアリング力の底上げなど、モノづくり企業の活動を支援する体制を幅広く整えています。それらの中心となる商品も、さまざまな研究開発、先端技術への追求を重ねていますが、すべてを独力で生み出すことは難しく、産官学連携での取り組みが必要と考えています。本日ご列席の先生方におかれましても、研究活動を通じて新たな技術や理論の構築に取り組んでいただき、企業のイノベーション喚起にもご尽力いただければ幸いです」と述べた。 文部科学省 科学技術・学術政策局 産業連携・地域振興課 産業連携推進室の迫田健吉室長は「本日助成金目録を受けられた研究者の皆さま、今後も世界に負けない、ワクワクするような研究を期待しています。ただ、せっかくの成果を研究だけで終わらせてしまってはもったいないので、社会に届けていっていただきたい。たとえば、ベンチャーキャピタリストや所属組織の産学連携部門から、共同研究や産学連携などの話があったときは面倒だと思わず、一度考えていただきたい。もしかしたらその研究が社会や環境、経済の課題――イシューを解決するイノベーションが見つかるきっかけとなるかもしれません。失敗を恐れず、爆発的なイノベーションをもたらすようなご活躍を期待しています」。 「㈱アマダ様も昔はスタートアップでした。1946年の創業以来、成長を続け、次世代研究者の支援を行う天田財団を生み出されました。その助成を受けた研究者の皆さまが将来成功して、次世代研究者を支援できるような立場になる――そうした好循環が生まれたらいいなと思っています。皆さまの今後のご活躍を期待しています」と述べた。 創価大学・渡辺一弘名誉教授(天田財団評議員)が今回の助成について次のような総評を行った。 「本年度からの新たな取り組みとして、『研究開発助成』では、社会的な課題解決に貢献する『重点研究開発助成』に積極的に挑戦していただくため、プログラムの重複申請を許可しました。重複申請を許可したプログラムは『重点研究開発助成』と『一般研究開発助成』、または『重点研究開発助成』と『奨励研究助成』です。その結果、『重点研究開発助成』の申請件数が昨年度の6件から、21件に増加しました」。 「『国際交流助成』ではコロナ禍後、実参加での活動が戻りつつある中、歴史的な円安、物価高騰の影響による費用高騰に鑑みて、『国際交流等参加助成』において旅費とは別枠で会議参加費を助成しました。また、渡航先に応じた旅費の最高助成金額も公開しました。その結果、申請件数は昨年とほぼ同じですが、1件あたりの助成金額が増加しました。会議はオンライン会議でも助成の対象としています。『国際交流助成』は、『研究開発助成』と重複して受けることができますのでぜひご活用いただき、皆さまの研究成果を世界へ発信していただければ幸いです」。 助成金目録贈呈式では、伊藤理事長から式典に出席した助成者84名の一人ひとりに助成金目録が贈呈された。 式典の後には天田財団の「重点研究開発助成」を受け、2024年度に研究成果報告を行った研究の中から、電気通信大学・久保木孝教授が「V曲げ加工金型の長寿命化に関する研究」、慶應義塾大学・寺川光洋教授が「高繰り返しフェムト秒レーザパルス照射による黒鉛質炭素構造の直接描画」と題した招待講演を行った。 その後は会場を移して交流会が開催され、研究者や財団関係者たちによる積極的な意見交換や近況の共有、雑談も交えながらの交流が行われた。3
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