天田財団ニュース No18
15/20

❶❶❶Taylor衝撃実験装置/❷引張・圧縮・曲げ試験を1台で行うことができる油圧万能試験機/❸引張試験装置などが並ぶ共有の実験設備❷❷❸❸2015年6月に卒業すると、広島大学大学院 工学研究科の年4月からは博士後期課程で研究・勉学に励み、2022年は、近年になって種々拡張されており、材料モデルの確認、衝突外力の取得、応力-ひずみ曲線の測定などにも応用されている。 そうした中で本研究の特徴は以下のようになる。1. DIC法によりTI試験の応力分布を取得する。2. 超高速度試験方法の確立。3. ひずみゲージの代わりに、出力信号が非常に大きな圧電フィルム(PVDF)を応力棒に貼り付け、外力を高精度に測定可能なセンサーを開発する。4. 赤外線ファイバーおよび赤外線検出素子(IRD)を利用して温度測定系を設計する。5. FCC材(面心立方格子金属)とするアルミニウムだけではなく、BCC材(体心立方格子金属)とする鉄、HCP材(六方最密格子金属)とするマグネシウムなどの材料の応力特性の取得などがある。および電子情報学院で、機械設計とその自動化を専攻。研究生として来日。2017年4月に同工学研究科 機械システム工学専攻 材料研究室の博士前期課程に入学し、20193月に工学博士となった。その後、2022年4月から立命館大学 理工学部 機械工学科の助教に就任した。 「広島大学 工学研究科 機械システム工学専攻 材料力学研究室を選択し、約5年間、同研究室で勉学や研究に励みました。指導教員やほかの学生らと切磋琢磨して研究に取り組む中で、研究活動自体を生涯の仕事としたいと強い希望を抱きました。複数の国際会議でさまざまな研究者と議論をしたことも刺激になり、研究への興味がますます深化。これからも研究を続けたいと思い、立命館大学に就職、研究を継続することができるようになりました」(高助教)。この研究の5つの特色 これまで衝撃強度のみを計測するものだったTI試験法中国地質大学を卒業後、広島大学で学位取得 高崇助教は、中国・武漢市にある中国地質大学・機械システム科学を主要領域として、応用科学・先端科学を重点とする学科体系を構築しており、地球規模での資源環境領域における研究分野に人材を輩出している。 高助教は、大学在学中から将来は研究者になることを目標に勉学に励んだ。その中で、宇宙開発は開発のイニシアチブをめぐる世界的競争の中にある。高助教は、高速を超えて飛来する宇宙ゴミと宇宙構造物の破壊と損傷の問題が重要課題であると考え、その回避のため、超高速変形における宇宙構造物用材料の熱・力学的挙動の測定が重要になると考えた。しかし、試験法の限界から超高速度であるレベルの試験は困難であり、対応する速度領域における材料の熱・力学的挙動の解明は急務となっている。 そこで、高助教は材料の熱・力学的挙動の評価、超高速度における熱・力学的挙動測定法の開発およびその高精度化などを主要なテーマとして研究に取り組んでおり、今回、天田財団に採択された研究はその中核となっている。た女性と結婚、現在は大学近くのマンションの新居で夫人とともに暮らしている。 高助教は「オリジナリティ、未知のものへの挑戦的な精神、国際的なコミュニケーションスキル、そしてより高いレベルへ向かうための粘り強さを持った研究者として、培ってきた知識に加え、意欲的に新しい知識を取り入れることで、外国人として日本を中心に国際社会に貢献できるような研究者を目指したい」(高助教)と語る。 そして「人類にとって未開のフロンティアのひとつである航空宇宙開発の分野で、日中両国が互いに協力しあえる関係を構築するための懸け橋になりたい」という。その夢に一歩でも近づくため、高助教は日々研究に勤しんでいる。宇宙構造物用材料の熱・力学的挙動の測定の研究 中国地質大学は、教育部直轄の国家重点大学。地球「航空宇宙開発の分野で、日中が協力しあえるための架け橋になりたい」 今年33歳となる高助教は一昨年、中国で知り合ってい15

元のページ  ../index.html#15

このブックを見る