天田財団ニュース No18
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研究室訪問5立命館大学・高崇助教立命館大学 理工学部 機械工学科高コウスウ 助教2023年度「奨励研究助成(若手研究者)」に塑性加工分テーマ「Taylor衝撃試験に基づく超高速度変形における加工素材の熱・力学特性評価法の提案」が、天田財団の野で採択された。 金属材料強度の変形速度依存性の観点において、塑性加工では異なる加工速度による素材の変形挙動差異を考慮する必要がある。特に超高速で加工する場合には、材料の強度が顕著に硬くなるため、加工装置が損壊する可能性があった。一方、加工時の塑性変形により生ずる温度上昇は、材料や加工装置に強く影響するため、異なる加工速度での温度上昇の発生量が重要となる。 そのため、材料の熱・力学的特性および加工速度の依存性に対して評価を行うことが重要となってくる。材料の力学的特性の速度依存性関係は、異なるひずみ速度に適用される種々の材料特性評価試験法を用いて得られたが、試験方法の限界から、105s-1以上のひずみ速度における金属材料の変形挙動が未知のままとなっており、高速度塑性材料の熱・力学的挙動およびその加工速度依存性の評価 立命館大学 理工学部 機械工学科の高崇助教の研究Taylor衝撃(TI)試験法に別の要素を追加した新しい試験法を確立 そこで高助教は、材料衝撃強度のみを計測する従来加工の開発促進の観点から、その測定には挑戦的な要素が十分に含まれていた。 ところがひずみ速度は、104s-1以上で材料の強度は著しく硬くなり、ひずみ速度に対して非線形性を示して、低速度域の結果の外挿だけでは予測が困難になる。また、同様の非線形性が未踏の速度領域に存在する可能性もある。Taylor衝撃(TI)試験法に、高速度カメラとひずみゲージを貼り付けた応力棒を加えて105s-1のひずみ速度領域の材料変形挙動を測定可能にする計装化Taylor衝撃(ITI)試験法を確立した。 ただ、高助教の研究開発では空気銃を利用しているため、105s-1のひずみ速度を超える超高速度変形を実現するのが困難だった。また、高助教によって提案された方法の妥当性は純アルミニウムのみの実験結果であり、任意材料に対してはその適応性が未解明である。さらに高い変形速度に適応可能な測定方法の提案までは行われていない。 本研究では下記の5つを目的としている。1. 仮定を設定せず、応力分布の取得方法を提案する。2. 今まで提案していた高速度変形を実現可能な「計装化TI試験法」を超高速度変形領域まで拡張し、未知である材料の変形挙動の評価を可能とする試験法を確立する。3. 高速度変形における、材料の変形挙動を評価するために、重要な外力を高精度に計測可能なセンサーを開発する。4. 一カ所の温度測定に注目し、超高速度材料特性試験法および超高速度加工に適用可能な温度上昇評価試験法を提案する。5. 任意材料に対して、提案した方法の妥当性を確認する。14 崇超高速変形における宇宙構造物用材料の熱・力学的挙動の測定法の研究Taylor衝撃試験に基づく加工素材の熱・力学特性評価法を提案

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