発表会の冒頭に、主催者挨拶を行う天田財団・伊藤克英代表理事理事長発表会のテーマについて説明する京都大学・阪部周二名誉教授(天田財団評議員)研究成果を発表する奈良先端科学技術大学院大学・細川陽一郎教授テーマ説明も兼ねた基調講演の中で、「レーザの医療やバイオ分野への応用に関する応募は助成総数の中でまだ多くはありませんが、人々の暮らしの安全・安心に密接に関係したテーマを取り上げることにより、レーザプロセッシングのポテンシャルを感じていただければうれしい」と述べた。 その後、これまでの助成研究の中から選定された5件の講演――産業技術総合研究所・大矢根綾子総括研究主幹(インタビューはP18~掲載)による「過飽和液中レーザー照射によるリン酸カルシウム成膜技術と歯面改質応用」、東京医科歯科大学病院・本村一朗助教による「極短パルスレーザを用いた天然歯とジルコニアの高精度歯科プロセス」、奈良先端科学技術大学院大学・細川陽一郎教授による「医学医療分野への応用を目指した細胞・生体材料のフェムト秒レーザプロセシング」、古川彰氏(元・奈良県立医科大学・博士研究員)による「炭酸ガスレーザーによる医療用材料表面への機能性アパタイトの溶着加工」、鳥取大学・陳中春教授による「積層造形によるチタン合金の開発と生体インプラントへの応用」が行われた。 研究者による学術的発表のあとは、コヒレント・ジャパン㈱・澤徹MDマネージャーによる「レーザによる医療機器製造のご紹介」と題した「企業講演」が行われた。 講演会の最後には阪部名誉教授が「背景として高齢化社会を掲げた研究が多かった印象。高齢化は今後も続く課題のひとつ。みなさまの研究がこれからも進展していくことを願っております」と締めくくった。2テーマは「レーザプロセッシングの医療・バイオ分野への応用」 天田財団は4月24日、パシフィコ横浜で「第7回 レーザプロセッシング助成研究成果発表会」を開催した。この発表会は毎回、「OPIE」の公式イベントとして併催する。 今回のテーマは「レーザプロセッシングの医療・バイオ分野への応用」。ハイブリッド方式(会場+オンライン)で、研究者や関連企業などを中心に136名が参加した。 発表会の冒頭、天田財団・伊藤克英代表理事理事長は「われわれを取り巻く科学技術の分野では、DX対応やSDGsの達成、カーボンニュートラルの実現など、喫緊の技術的課題が山積しています。私はいつの時代も科学技術のイノベーションこそが課題を解決し、次の時代を切り拓くための原動力であると信じています。当財団は次の時代を拓くイノベーターを応援すべく、研究開発助成を続けています」。 「私が常に発信してきた言葉があります。それは『二番じゃ駄目なんです。常に一番を目指してください』です。当財団は常に一番を目標にする技術者に助成を行いたいと考えています。研究者のみなさまを応援し、日本のものづくりに公益事業をとおして貢献するよう、今後もいっそう努力してまいります」と述べた。高齢化を背景に掲げる研究が目立つ 京都大学・阪部周二名誉教授(天田財団評議員)は「第7回 レーザプロセッシング助成研究成果発表会」を開催
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