プロフィールサーボパルサ疲労試験機自動研磨装置実験装置や加工設備が並ぶ研究実験室を徹底して周知するといった対策を採っています。できるだけ早く、会員数が増加に転じるようにしていきたい。 組織の存在が目的化してはいけませんが、塑性加工技術や塑性加工学が、日本のものづくりにとって不可欠なピースであるのであれば、日本塑性加工学会の個人正会員を増やすことは、学会や会員各位に課された責務と考えても良いのではないかと思います。※参考文献1)柳本潤:素形材,65-3(2024),44.2)柳本潤:ぷらすとす,6-66(2023),285-286.3) 柳本潤:日本塑性加工学会Webサイト「日本塑性加工学会の現状」柳本 潤(やなぎもと・じゅん)東京大学大学院 工学系研究科 機械工学専攻 教授。日本塑性加工学会 第60期会長。天田財団理事。炭素繊維強化複合材料(CFRP)、鉄鋼材料、非鉄金属材料などの機械材料、これらの材料の塑性変形、ならびに塑性変形を利用した材料ミクロ組織の研究に従事。文部科学省 科学技術・学術審議会 技術士分科会 専門委員、学術会議 連携会員、日本鉄鋼協会 副会長、国際生産工学アカデミー 成形加工科学技術委員会 委員長を歴任。課程を修了した学生たちは素材、自動車、重工、電機、ソフトウエアなどの業種に就職しています。1515■柳本研究室の現状―柳本先生の「機械材料学研究室」(柳本研究室)の研究テーマ、メンバー構成はどのようになっていますか。柳本 「機械材料学研究室」では機械材料学、塑性力学、塑性加工学などを専門にしており、日本塑性加工学会、日本鉄鋼協会、日本機械学会、自動車技術会などで研究発表を行っています。また、機械材料学、塑性力学、塑性加工学について学生・社会人への教育も行っています。 当研究室は、私が生産技術研究所の講師に任官した1989年4月に、当時六本木にあった生産技術研究所 機械系に開設しました。開設以来、専門分野を塑性加工学としてきましたが、1997年5月に高次機能加工学(Hyper-functional Forming)に専門分野を変更し、2001年10月に生産技術研究所が駒場に移転したことで、研究室も駒場に移りました。2018年4月には私自身の異動にともない、本郷の東京大学大学院 工学系研究科 機械工学専攻に2度目の移転をして、東京大学大学院 工学系研究科 機械工学専攻 機械物理工学講座の所属となり、現在に至っています。 2024年度の在籍者は、学部生3名、修士課程4名、博士課程3名、研究生1名、特任研究員2名(常勤1名、非常勤1名)と、特任専門職員、助教、私を含めて16名です。 私自身は研究とともに、生産技術研究所時代の1995年から工学系研究科 機械工学専攻で、修士課程および博士課程の学生の研究を通じた教育を行ってきました。修士■社会の変動に応じて柔軟に進化する―今後の抱負などをお聞かせください。柳本 日本塑性加工学会の活動の柱となっている4つの目標――「学会活動の活性化とプレゼンス向上」「産学連携強化」「人材育成」「財政基盤強化」に向かった活動は堅持すべきだと思います。 一方、産業界で求められる技術は急速に変貌しています。車の電動化は一つの例だと思います。私たちは社会の変動に応じて柔軟に塑性加工技術や塑性加工学を進化させていかなければいけません。学理(科学)と技術あっての学術であり、一方が欠けることは許されません。日本塑性加工学会は、日本の塑性加工技術や塑性加工学が世界を先導し続けるための交流の基盤を提供し続けるとともに、製品あるいはサービスの創造による価値を付与することで、日本の将来に貢献し続けていきたい。
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