ルに活用した効率の追求はもとより、環境に配慮した活動をよりいっそう推進する必要があります。加えて、労働者・熟練工不足による自動化の追求など、企業を取り巻く課題が山積しています」。 「一方で、部品不足からくる製造遅延が解消されつつあり、企業は社会で必要とされている最新の機器を製造するために細心の加工技術を追求しながらものづくりを行っています。機械メーカーである当社グループにおいても新たなコンセプトのもと、ものづくり企業を最先端の金属加工技術で支援する体制を整えています。足もとの設備投資需要は底堅く、あらためて作業者に優しいマシンや自動化の設備、多種多様な素材に対する加工技術の要望は、日本のみならず世界的にも非常に強いものがあると実感しました」。 「企業側もさまざまな研究開発投資を行い、先端技術への探求を重ね、これに取り組んでいく覚悟ですが、すべてが企業の独力で解決できるものではありません。産官学の連携が重要になってきます。本日ご列席の先生方におかれましては研究活動を通じて、日本初の新たな技術や技能の構築に取り組んでいただき、企業のイノベーション喚起にもご尽力いただければさいわいです」と祝辞を述べた。では長期的な投資をしにくいこともあり、大学や研究機関への期待が高まっています」。 「先程、AGIC(AMADA Global Innovation Center)を見学させていただきました。天田財団様、バックグラウンドにいらっしゃるアマダ様の民間資金だけで、助成を含め、これだけの次世代育成のための支援をされているのかと大変感動しました。イノベーション創出に成功したものが融資やエンジニアリング投資などの支援を行い、次の世代につなげていく――持続可能なイノベーションエコシステムを達成していくためにも、本日助成を受けられた皆さまにはぜひ成功していただき、次世代育成のための支援を行っていってほしい」と述べた。3選考委員会の代理として挨拶する創価大学 共生創造理工学科・渡辺一弘教授(天田財団評議員)招待講演を行う熊本大学 産業ナノマテリアル研究所・外本和幸教授招待講演を行う大阪大学大学院 工学研究科 マテリアル生産科学専攻・佐野智一教授持続可能なイノベーションエコシステムを構築 来賓の文部科学省 産業連携・地域振興課 産業連携推進室・迫田健吉室長は「2000年に2位だった日本のGDPは、2012年に中国に抜かれて3位に、2023年にドイツに抜かれて4位になりました。1人あたりの名目GDPで見ると先進国の中でほぼ最低ラインまで落ちています。ここから脱却するにはいかに生産性を上げ、新しい産業をつくっていくかが重要になります。アイデアベースのスタートアップではつぶされてしまう可能性があるので、他の追随を許さないトップレベルの技術をもってグローバルでも通用するビジネスをつくっていくことが重要です。そうした状況の中、企業時勢に対応して柔軟に助成内容を変更 助成金目録贈呈式のはじめに、創価大学 共生創造理工学科・渡辺一弘教授(天田財団評議員)が「現在、大学の研究者を取り巻く環境はきびしく、競争的資金である科研費だけでは足りず、各自で資金を調達しなければならない状態です。このような中で天田財団は『一般研究開発助成』の最高助成額を300万円に増額、また円安などの状況も鑑みて『国際会議等参加助成』の最高助成額を45万円に増額しました」と報告した。 助成金目録贈呈式では、伊藤代表理事理事長から式典に出席した助成研究者の一人ひとりに助成金目録が贈呈された。贈呈式の後には、天田財団の2019年度研究助成を活用した研究成果として、熊本大学 産業ナノマテリアル研究所・外本和幸教授が「爆発圧接法を用いた微細多数穴によるチャンネル(ユニポア)構造の創製」、大阪大学大学院 工学研究科 マテリアル生産科学専攻・佐野智一教授が「析出強化型アルミニウム合金の高強度継手を実現する短パルスレーザ誘起圧力波支援高速レーザ溶接法の開発」と題した招待講演を行った。
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