天田財団ニュース No15
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弘前大学「峯田研究室」のメンバー。左から髙橋大佑さん(M1)、峯田才寛准教授、恒川直諒さん(B4)、坂東航さん(M1)大学は理工学部が再編され、学科定員がそれまでの50名から80名に増員、それにともなう教員の増員で『パーマネント助教』の募集でした。生活が安定するのと、以前から研究・教育の仕事をやってみたかったので、弘前大学にお世話になりました」。 「弘前大学はもともと医学部・農学部が主体の大学で、理工学部は比較的新しい学部です。また、地域経済の発展に貢献するため、地元の企業との産学連携を強化しています。私も着任した翌年に地元の金属加工企業と『軽くて錆びにくいマグネシウム』を共同出願、最近特許が登録されました。そのような背景から地域にも開かれた研究室を目指しています」(峯田准教授)。 講座制はなく、機械材料機能学分野で強度材料学・軽金属・塑性変形が専門の「峯田研究室」と、材料強度設計学分野で機械材料学・力学特性・高温変形が専門の「佐藤研究室」(佐藤裕之教授)がコラボレーションして共同研究や学術指導を行っている。現在はM2の学生が7名、M1が5名、学部生が10名の計22名が所属しており、理工学部のなかでも人気のある研究室となっている。4弘前大学大学院 理工学研究科峯田 才寛 准教授不均一LPSO型Mg合金の創製と高温クリープ特性改善 弘前大学大学院 理工学研究科の峯田才寛准教授の研究テーマ「熱間塑性加工による不均一LPSO型Mg合金の創製と高温クリープ特性改善」が、天田財団の2022年度「一般研究開発助成」に塑性加工分野で採択された。 峯田准教授は、2012年3月に北海道大学 工学部を卒業。2014年3月に北海道大学大学院工学院 材料科学専攻 博士前期課程を修了、2017年3月に北海道大学大学院工学院 材料科学専攻 博士後期課程を経て、博士(工学)の学位を取得した。同年4月には弘前大学大学院 理工学研究科の助教に就任、2021年10月には現職である准教授に昇任した。「軽くて錆びにくいマグネシウム」で産学連携 「学位取得後の進路に関してはいろいろありました。若手研究者として自立した研究環境で研究・教育者としての経験を積み、最終審査によって専任教員になれる『キャリアパス(テニュアトラック型)』の研究者の道もありましたが、任期付き。そのほか多くの求人が期限付きの雇用でした。弘前医療業界や自動車業界からも注目される「超軽量マグネシウム合金」 峯田准教授が研究しているのは「超軽量マグネシウム(Mg)合金」だ。 Mgはアルミよりも軽くて強い金属。ただし、割れやすく成形が難しい点と錆びやすい点が実用化を阻んできた。そこで、峯田准教授はリチウムを混ぜて合金化、巨大ひずみ加工と高温での熱処理を施すことで、これらの課題を解決した。近い将来、飛行機や自動車の部品として普及すれば、燃費の大幅な向上によって世界的な省エネも期待できる。また、無害のため生体用材料として医工連携の研究も行われており、骨折時に体内に入れるプレートへの応用も期待されるなど、夢が広がる金属材料となっている。「組織制御」によって高性能な金属材料を生み出す省エネ材料として期待が高まる「超軽量マグネシウム合金」の研究

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