天田財団ニュース No15
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会社名 代表取締役 堤 健登所在地 電話 従業員数 URL ツツミ産業 株式会社神奈川県相模原市緑区橋本台2-5-300427-71-038060名https://www.tsutsumi-s.co.jp/❶❶❷❷❶治具から周辺装置まで含めた独自の改造を加えることで、加工機と一体になった加工技術を開発している/❷耐圧限界試験を行った6-4チタン製やTP270製のタンク/❸±0.05㎜の精度が求められるOA機器部品の加工サンプル❸❸ズが高まっている軽量化と高強度化に対応するため、ファイバーレーザマシンを導入。6-4チタンやマグネシウム合金など難加工材の加工にも挑戦している。金型を使用しない冷間・温間・熱間成形の工法を自社開発し、加熱による反りやねじれが少なく、かつ速く正確に加工できる技術を実現した。2022年にはファイバーレーザ溶接システムを導入、溶接分野にもレーザ加工技術を適用した。 2016年には培ってきたレーザ加工技術を活用して、マグネシウム合金製アタッシュケースを製作し三越伊勢丹より発表。2020年には神奈川大学航空宇宙構造研究室・高野敦教授らとともにハイブリッドロケットの酸化剤タンクを製作。2022年10月には秋田県能代市の海岸からハイブリッドロケットを打ち上げた。現在は6-4チタン製高圧タンクの実用化に目途をつけ、認可取得のための申請書類を作成している。人材育成には「エキスパートシステム」を採用 同社では「多能工では深い技術を追求できない」との考えから、人材育成に「エキスパートシステム」を採用している。これは「10年かけて10年経験技術者を1人育てる」のではなく、10年経験技術者の仕事を10に分け、各々の技術を10人に1年間でマスターさせる――「10年経験技術者分の知識をもった人を1年間で育てる」方法だ。各自の専門分野に特化・集中させることで各分野におけるプロフェッショナルを育てている。 レーザ加工グループのメンバー17名は3次元CAD/CAMを活用したプログラム作成から、オペレーション、製品に応じた加工条件の設定、マシンのメンテナンスに至るまでレーザ加工に関する業務は容易に対応できる。まさにレーザ加工の「プロフェッショナル集団」となっている。日本のものづくり発展に寄与することを期待 技能検定に「レーザー加工作業」が新設されることが決まると、同社はすぐに受検することを決断した。今回受検したのは60代から20代前半までのレーザ加工グループのメンバーと堤社長の計18名。このうち1級受検者は16名、2級は2名となっている。 堤社長は「レーザー加工作業」について「せっかくレーザが普及しても『ものさし』となる基準がなければ技術の明確な線引きができません。『数値制御タレットパンチプレス板金作業』や『機械板金作業』はあるのになぜレーザ加工作業はないのかずっと疑問でした。そのため今回は試験が行われることを知り、すぐに受検を決断しました」。 「とはいえ、社員たちだけに押し付けるわけにはいきません。私みずから受検することで社員たちも『社長には負けられない』と意気込んでいます。定時後にはよりきれいに切るにはどうするべきか、情報交換しながら自主的に訓練していました。実技に関しては慌てず自分たちの力を出せれば大丈夫だろうと思っています。ただ学科試験は新設なので出題傾向がわかりません。これまでのレーザ加工の歴史を簡単に説明し、会社で書籍を購入して各自にわたしました。また、受検に際しては天田財団の資格取得助成を使わせてもらいました」。 「『レーザー加工作業』は日本の製造業の発展に寄与する資格のひとつだと考えています。技能検定のような試験があることによって、これまでは自分が担当している作業しかわからなかった作業者も、作業範囲や加工精度についての視野が広がる。『レーザー加工作業』が基準としてうまく機能できれば、今後の日本のものづくり、レーザ加工の発展につながるのではないかと期待しています」と語っている。会社情報17

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