技能検定「非接触除去加工(レーザー加工作業)」を受検したツツミ産業㈱の堤健登社長(前列中央)とレーザ加工グループのメンバー17名技能検定に「レーザー加工作業」が追加 厚生労働省は2022年3月、近年の産業技術の動向などを踏まえて職業能力開発促進法施行規則の一部を改正、「技能検定」の職種・作業・試験内容を見直した。これにより従来の職種名「放電加工」が「非接触除去加工」に変更され、1級・2級の試験科目に「レーザー加工作業」が追加された。 技能検定制度は「働く人々の有する技能を一定の基準により検定し、国として証明する国家検定制度」。労働者の技能と地位の向上を目的としており、職業能力開発促進法に基づいて1959年から実施されている。 こうした動きを受け、天田財団は2023年度の資格取得支援事業の対象に「非接触除去加工(レーザー加工作業)」を追加。これにより「工場板金」「金属プレス加工」「レーザー加工作業」に対して受検手数料の助成を行い、受検者の費用面での負担軽減をはかる。18名のエキスパートが技能検定に挑戦 天田財団の「資格取得助成」で1アカウントの最大申請数である10名の申請を行ったのが、神奈川県相模原市にあるツツミ産業㈱だ。同社は電気機器や自動車関連部品、OA機器など、精度が必要とされる製品の試作に特化することで培った高い技術力で、多くの得意先から「無審査認定工場」としての評価を得ている。 その同社が特に力を入れてきたのがレーザ加工だ。精密板金業界の中でも早い段階からレーザ加工の優位性に着目し、必要に応じてマシンの改良・改善を行いながら独自の加工技術を確立。同時にそれを扱う人材の育成にも注力してきた。今では作業者全員がプログラム作成からオペレーション、製品に応じた加工条件の設定、マシンのメンテナンスまで対応できるプロフェッショナルとなっている。 同社は今回、レーザ加工グループのメンバー17名と堤健登社長の計18名が初めて実施される「レーザー加工作業」を受検。実技試験を終え、学科試験に備える同社を訪ね、話を聞いた。多様な試作品への対応で培った高い技術力 ツツミ産業は1965年創業以来、58年間、精密板金加工品の試作に取り組んできた。試作にはスピードが求められる。同社は他社では技術的に対応が難しい高度な試作品を最短3日でデリバリーすることに挑戦し、実現させてきた。そのため設計から加工、溶接・組立、検査までをワンストップで行える製造体制を構築している。 中でも同社にとってコア技術となるのがレーザ加工である。1980年代にアマダの量産1号機となるレーザマシンが発売されるとすぐに導入。当時はレーザの切断面品質が低く、酸化被膜が発生するなどの課題もあったが、堤健児会長はこれからの時代には必ず必要な技術であると確信し、レーザマシンを導入。それから40年以上にわたり、レーザ加工技術のイノベーションに取り組んできた。 1980年代後半には積層金型の製作技術を確立した。レーザ加工のノウハウを採り込むことで、成形の際にひずみが発生しない加工を実現。当時は板金加工企業による金型製作は珍しく、通常の金型よりも安価で製作できることから話題を呼び、試作の仕事が急増した。時代の変化により要求精度がきびしくなってくると、アマダと協力して3次元プローブ付きレーザマシンLCF-1212 3Dを開発、特殊加工に対応した。また、鋳物ベッドを採用したレーザマシンLM-505に改良を加えることで、薄物や小物などの微細加工に対応していった。 同社は治具から周辺装置まで含めた改造を加えることで、加工機と一体になった加工技術を開発――それが同社独自の加工ノウハウにもつながっている。加工難易度の高い特殊材料にも対応 2016年からは航空宇宙産業・自動車産業を中心にニー16天田財団の受検手数料助成を活用ツツミ産業 株式会社技能検定「レーザー加工作業」に18名が挑戦
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