天田財団ニュース No15
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産業技術総合研究所の鈴木大地主任研究員14研究室訪問6産業技術総合研究所4Dビジュアルセンシング研究チーム鈴木 大地 主任研究員国家公務員から研究者へ転身 産業技術総合研究所 センシングシステム研究センター 4Dビジュアルセンシング研究チームの鈴木大地主任研究員の研究テーマ「ナノ秒パルスを利用した金属表面熱変性による接着強度増加」が、天田財団の2022年度「奨励研究助成(若手研究者)」にレーザプロセッシング分野で採択された。 鈴木主任研究員は2011年3月に東京工業大学 工学部電気電子工学科を、2013年3月に同大学大学院 理工学研究科電子物理工学専攻で修士課程を修了。その後、国家公務員総合職として国土交通省 大臣官房技術調査課 電気通信室に入省、2014年4月から2015年3月までは総務省 総合通信基盤局電波部移動通信課 新世代移動通信システム推進室に出向し、自動運転実用化に対応した業務などを担当した。 2015年4月には東京工業大学大学院 理工学研究科 電子物理工学専攻の博士課程に入学。2016年4月から2年間は日本学術振興会の「特別研究員」に採用され、支援を受けながら研究を行い、2018年3月には博士(工学)の学位を取得した。同年4月からは理化学研究所 創発物性科学研究センター量子効果デバイス研究チームの基礎科学特別研究員として3年間を過ごした。理化学研究所を経て産総研に入所 「理化学研究所の基礎科学特別研究員制度は『科学技術のさらなる発展のために、創造的・基礎的な研究の推進が期待される、発想の自由な若手研究者に活躍の場を提供すること』を目的としており、創造性・独創性に富む若手研究者が自由な発想で主体的に研究できる場を提供する制度です。3年間という任期付きではありますが、外部資金で雇用される一般的なポスドクとはちがい、予算に紐づいた研究テーマではなく独自の研究テーマを設定して取り組むことができます。研究者の自由な発想で主体的に研究ができるほか、自身の裁量で使える年間研究費も支給されるため大変良い環境で研究に専念することができました」(鈴木主任研究員)。 そして、2021年4月からは産業技術総合研究所(産総研) センシングシステム研究センター4Dビジュアルセンシング研究チームの研究員として研究を実施。2023年10月から同研究チームの主任研究員として活動している。4Dビジュアルセンシング研究チームに配属 「研究一筋でやりたかったので研究機関の研究員を志望していました。中でも産総研への入所を希望していて、テニュアトラック型研究員(現・パーマネント型研究員)の公募に応募して採用が決まりました。私は出身が埼玉で、大学が東京、公務員時代は東京、理研の研究所は埼玉と、これまで首都圏から出たことがありませんでした。てっきり産総研でも茨城での勤務になると思っていたのですが採用面接で、勤務地は佐賀県鳥栖市にある産総研 九州センターになると伝えられ、新天地である九州に来ました」。 「私が所属するセンシングシステム研究センターは、健康で豊かな暮らしに貢献する高性能なセンシングシステムと、センシング基盤技術の開発に携わる12の研究チームから構成され、そのうち5つの研究チームが九州センターに拠点を置いています。研究チームのほか、九州センターには極小規模で半導体製造工場を形成し、少量の半導体チップを低コストかつ短期間で製造可能にする半導体製造システ「マルチマテリアル化」に不可欠な接着・接合技術の開発国家公務員の職を経て研究者を目指す

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