オンラインで祝辞を述べる文部科学省 産業連携・地域振興課の井上睦子課長交流会で乾杯の発声をする天田財団・千野俊猛理事(日刊工業新聞社前社長)3イノベーションと研究開発が重要 文部科学省 科学技術・学術政策局 産業連携・地域振興課・井上睦子課長は、オンラインで祝辞を述べた。 「人々の暮らしを支える金属加工分野で事業を展開してこられたアマダグループ様、35年にわたって研究助成を続け、人々の豊かな暮らしを支えてこられた天田財団様に、あらためて敬意を表します。質の高い研究を支えてこられた天田財団の選考委員のみなさまのご尽力にも感謝申し上げます。そして助成を受けられる研究者のみなさま、おめでとうございます」。 「現在、われわれは感染症やデジタルトランスフォーメーション、脱炭素、不透明な世界情勢と、さまざまなチャレンジに直面しています。その中で新しい道を見つけ、発展させていくことが必要になっています」。 「政府の成長戦略の中でもイノベーションと研究開発は重要な要素となっています。そのため政府は、若手研究者の育成や、産業界出身や起業を検討中の博士課程の研究者に対して研究費や生活費を支援することも考えています。さらに、起業を検討中または起業直後のさまざまな研究者に対して、研究資金の支援や研究環境の整備など、多様な支援活動の充実もはかっています。世界をリードする研究ネットワーク――日本人の研究者にしっかりとした活動を行っていただくための国際的な共同研究への取り組みも行っていきます。天田財団様のような民間の研究支援活動に対しても、しっかりとサポートしていきたいと考えています」。 「企業活動から生まれてくる研究課題と基礎研究とがあいまって、新しい研究成果が世に出る。それが人々の豊かな生活と企業収益につながっていく。そして、その収益の一部を再投資することによって新たな技術を開発する――こうした研究開発のエコシステムを確立しているのがアマダグループ様なのだと思います」。研究資金が不足する中でこそ研究助成を継続 天田財団理事を代表し、慶應義塾大学・青山藤詞郎名誉教授が総評を行った。 「天田財団は、金属等の塑性加工分野とレーザプロセッシング分野を対象とした研究助成を通じて、日本の産業と経済の発展に寄与することを目的としています。ご存知のとおり、現在、大学や研究者を取り巻く環境は、コロナ禍の影響も加わり、非常にきびしくなっています。特に研究資金は、競争的資金である『科研費』だけでは絶対的に不足しています」。 「このような中で、天田財団は本年度、約2億3,600万円を研究開発と国際交流の助成金として準備しました。当財団の助成資金は㈱アマダの株式配当金であり、高配当を継続していただいていることに感謝します。そしてその果実をもって、みなさまの研究活動を助成できることは、財団役員の一人としてとてもうれしく思う次第です。みなさまの研究に役立てていただき、良い研究成果が生まれることを切に期待します」。 その後、「助成金目録贈呈式」が開催され、式典に出席した71名の助成対象者一人ひとりに、末岡理事長から助成金目録が贈呈された。 目録贈呈後は、2018年度に天田財団から重点研究開発助成を受けた研究者を代表して、早稲田大学・川田宏之教授が「引抜き成形を用いたカーボンナノチューブ繊維の高強度化」、東海大学・橋田昌樹特任教授が「太陽電池性能向上を目指した高品位レーザ加工による表面構造付与」と題する招待講演を行った。 式典終了後は、会場をレストランアラスカに移して「交流会」が催された。職業訓練法人アマダスクール・伊藤克英理事長の挨拶、天田財団・千野俊猛理事(日刊工業新聞社前社長)による乾杯の発声の後、参加者は思い思いに交流を深めていた。
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