❶❶❷❷❶今回の実験に使用するアマダ製サーボプレスSDE-8018/❷ロードセルを使った自作の実験装置/❸実験設備の精密切断機❸❸に携わった。この時の知見が、本研究にも活かされている。 また、後続のプロジェクトである「中小企業基盤技術継承支援事業」にも参画した。このプロジェクトでは、熟練技能者の技能を抽出し、形式知化・システム化して若手技能者の技能習得を支援する「加工テンプレート」を開発した。加工テンプレートは産総研が鍛造・鋳造・熱処理・めっきを担当し、共同開発者の理化学研究所がプレス・切削を担当した。梶野主任研究員は、このうち鍛造の加工テンプレート開発にも携わった。 その過程で技能の抽出と形式知化に関する経験を積み重ね、AIモデル構築の際に役立つ知見を培うことができた。この時に開発した鍛造加工の工程設計、金型設計支援に関するテンプレートは、本研究にも活用できる。 2010年には産総研の先進製造プロセス研究部門に異動し、2012年には経済産業省 中小企業庁に出向した。中小企業庁ではサポイン事業に携わり、中小企業の実態に触れる機会を得た。この時の経験が本研究提案の礎の一部にもなっている。 2013年に製造技術研究部門に復帰。復帰後は3Dプリンター関連の事業(TRAFAM)にも携わりつつ、伸線や圧延、鍛造などの塑性加工の研究を継続している。 大学時代から継続している伸線加工(細線伸線材)の表層部付加的せん断ひずみ層における内部組織と引張り強さ向上の関係や、せん断加工などの塑性加工研究などを通じて、本研究における加工特性の解明に有効な知見も備えている。を集約したデータベースを構築し、設計支援ツールの基盤とする。設計支援ツールの活用によって、トライアンドエラーでモーション設計を行う際に発生する膨大なコスト・時間・不良品の削減、作業員の負担軽減などの効果に期待している。②スライドモーションのAI予測モデルの構築加工圧力を低下させるなどの効果を有したスライドモーションを予測するためのAIモデルの検討。数値化・パラメータ化し、前述のデータベースと組み合わせることで設計支援ツールの骨子とする。③多段工程の工程数削減のモーション設計支援システムの構築スライドモーションと加工特性の関連を示すデータベースと、AIを活用したスライドモーションの予測システムを利用し、工程数削減に有効なスライドモーション設計支援ツールを構築。ツール開発後はサーボプレス機のコントローラに搭載することを目指す。13工程数削減に有効なモーション設計支援ツールを構築する 本研究の目的は以下の3点。①データベース構築後方押出し、前方押出しなどの基本的な鍛造加工を対象として、スライドモーションと加工特性(加工圧力・成形限界・潤滑状況・加工精度など)の関係を究明する。それら天田財団の研究開発助成を受けるのは4回目 本研究には産総研の臨海副都心センターに設置されているアマダ製サーボプレスSDE-8018を用いる。今回の研究助成金で軸の前方押出し用金型(2段軸にも対応可能)容器と、軸の組合せ形状用の金型を製作。金型完成後に鍛造実験を行う。対象材料はS15C、純アルミA1070など。実際の反力を計測するためにダイやパンチにロードセルを埋め込んだ治具を開発し、実験している。 「われわれの研究費は限られているので、天田財団の研究開発助成は大変ありがたい。過去にも3回、研究助成をいただき、今回が4回目です。大学とはちがいスタッフの数も限られているので、研究助手は大学と連携し、研究所で卒論研究に取り組みつつ、研究に参加してもらっています。参加してくれる学生には交通費を支払う必要があり、人件費への充当が認められる天田財団の助成は助かります」と梶野主任研究員は語っている。
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