天田財団ニュース No13
8/16

富山高等専門学校・井上誠教授や、長岡技術科学大学、豊橋技術科学大学、東京大学、東京工業大学などの4年制大学に編入している。8研究室訪問3富山高等専門学校 機械システム工学科井上 誠 教授研究開発助成の採択は今回が3度目 富山高等専門学校(以下、富山高専)機械システム工学科の井上誠教授は、「サーボプレスを用いた押出加工による高強度・高耐食性Mg-Zn合金板材の作製」という研究テーマで、天田財団の2020年度「一般研究開発助成」の塑性加工分野に採択された。井上教授は現在、校長補佐の要職も兼務しており、取材にうかがった日は「商船学科」の卒業式が射水キャンパスで催され、過密スケジュールの合間を縫ってのインタビューとなった。 富山高専は、富山工業高等専門学校と富山商船高等専門学校が統合して2009年に誕生した。そのため、「機械システム工学科」「電気制御システム工学科」「物質化学工学科」「電子情報工学科」「国際ビジネス学科」「商船学科」と、名称に「工学」が付かない学科もある。また、本科卒業後に2年間学べる専攻科には「エコデザイン工学専攻」「制御情報システム工学専攻」「国際ビジネス学専攻」「海事システム工学専攻」がある。 井上教授が所属する「機械システム工学科」は1学年あたりの定員が40名で、5年生までで約200名の学生が在籍している。このうち50%の学生が高専卒業後には専攻科軽金属材料やMgの高純度化などを研究 井上教授は富山高専を卒業後、民間企業に就職したが、1986年に長岡技術科学大学 工学部 創造設計工学課程の3年に編入学し、1988年に研究科の博士前期課程に入学した。長岡技術科学大学に在籍中から軽金属材料、マグネシウムの高純度化などの研究に携わってきた。1990年3月に卒業した後は再び民間企業に就職したが、1991年には富山工業高等専門学校 金属工学科の助手となり、2009年9月まで同校の環境材料工学科の助手、講師、准教授、教授を務め、2009年10月からは富山高専 機械システム工学科の教授となった。高強度・高耐食性Mg-Zn合金板材の作製 井上教授の研究テーマはこれまでに3度、天田財団の研究開発助成に採択されており、いずれもマグネシウム合金材料の研究テーマとなっている。 井上教授は、今回の助成研究に至った経緯について次のように説明する。 「近年、マグネシウム合金は軽量であることや、リサイクル性の高さなどの優れた特性により、携帯用電子機器をはじめとした構造用材料としての需要が増加する傾向にあります。また、生体吸収性材料であることから医療材料への適用も検討されています。私の研究室ではこれまでに、マグネシウム合金のリサイクルに関する研究や、高純度化に関する研究、その特性に関する研究を行ってきました」。 「市販のマグネシウム合金では生体吸収が速すぎるため、生体吸収が遅くなる高純度マグネシウム合金の研究が行われています。しかしながら、強度の低さが問題となっていました。これまでの研究で、亜鉛を含むマグネシウム合金を使用すると、固溶強化などにより強度が増え、高純度マグネシウム合金のリサイクル、高純度化、特性に関する研究を継続サーボプレスを用いた押出加工による高強度·高耐食性Mg-Zn合金板材の作製

元のページ  ../index.html#8

このブックを見る