天田財団ニュース No13
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❶❶❷❷❶研究室にある引張試験機/❷天田財団の助成金で導入した電気炉/❸加工実習では鋳造の砂型製作工程から学ぶ真中研究室のメンバーの集合写真❸❸す。環境材料工学科では材料工学に関する基礎的な専門知識と技術を身につけ、環境保全に対応したものづくりができる技術者の育成を目的としています。私の知る限りでは現在、材料を専門に扱う学科のある高専は新居浜・鈴鹿・久留米の3校のみ。新居浜高専の環境材料工学科では金属だけでなく、セラミックスやプラスチックなども扱っています」。 「環境材料工学科の場合、専攻科への進学、豊橋技術科学大学や愛媛大学といった大学への編入を選択する学生が20〜30%となっています。わりと早い段階から大学進学に興味を持っている学生も多いようです。話を聞いてみると、『高専卒業後は四大に編入して大学院まで進学したい』『将来は外国で働きたい』と考えている学生もいます」。 「対照的に、入学当初から就職を念頭に置いている学生もいます。環境材料工学科には機械・電気・化学・造船・建設など非常に多くの分野の企業から求人があり、それぞれの分野で卒業生たちが活躍しています」(真中准教授)。 そうした学生たちの進学・就職などをサポートしているのが、真中准教授を含む先生たちだ。インターンシップにいく前のマナー講習から、就職活動での履歴書の書き方、面接指導、普段の生活にいたるまで各学生の希望に応じて丁寧に指導している。そのため、「自身の研究に費やす時間はかなり限られてくる」(真中准教授)という。性を感じました。日本ではアルミニウムの地金は輸入に頼っていますが、今後、国内で展伸材をうまくリサイクルして活用していければ価格の高騰などが生じても安定した供給が可能となります。現在、輸送機器に使われているアルミニウム展伸材のリサイクルは元の製品の品質からの低下をともなう『カスケードリサイクル』がスタンダード。これを『水平リサイクル』にすることができれば大きなメリットとなります。そのためには、リサイクル時に混入する不純物元素の無害化が必要で、取り組みたい研究課題のひとつです」(真中准教授)。7アルミニウム合金の可能性 「アルミニウム関連の研究ではまだ企業との連携はできていませんが、溶接関係では地元の溶接材料のメーカーさんと共同研究を行っています。溶接でも水素が関係した割れが発生するので、どういう条件で溶接したら水素が入るのかなど基礎的な部分から調査しています。四国地域ですとどうしても金属の溶接――特に造船からきているのでしょうが、プラント関連の溶接が多いです。そういった地域からの要望に応えられるような研究も展開していきたいと思っています」。 「先日、富山で開催されたアルミニウム合金の国際会議に参加したときに改めてアルミニウムのリサイクルへの可能金属構造材料開発には異分野の研究者の連携が必須 「社会基盤を支える金属構造材料開発には、ラボレベルの強度・延性評価だけでなく、その後の加工特性の評価や実用化に向けた製造プロセス開発まで多岐にわたる検討が必要です。そのためには異なる複数分野の研究者・技術者の連携が必須で、自分の専門分野だけに特化するのではなく、さまざまな分野の技術動向に目を配る必要があります。新居浜高専では愛媛大学工学部との連携を進めているほか、私自身は学会の研究会などで大学の先生がたと共同研究を行っています。今後もいろいろな企業や研究者の方と連携しながら研究を進めていきたいと考えています」(真中准教授)。

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