天田財団ニュース No10
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❶❶❶石井教授が開発したマイクロライダーシステム/❷7GSampling/Sのリアルタイムオシロスコープで取得したマイクロライダーシステムの測定信号の例/❸マイクロライダーシステムの実験風景光産業創成大学院大学の教員集合写真❷❷❸❸倍以上の計測速度である10MSampling/secのOCT計測システムを構築した。 さらに、これをレーザ溶接でのキーホールの計測に適用。現在、250kSampling/secのOCTを用いたキーホール深さ計測(0D)が実用化されているが、計測速度を10MSampling/secとし、計測位置を2次元に走査することで、キーホール形状の計測(2D)を可能としている。本研究では計測システムの低ノイズ化と安定化をはかることで、キーホール内部の計測(3D)を行う。それにより、キーホール形状だけでなく、溶融池やスパッタの挙動の可視化も可能にする。 2つ目は「機械学習の導入」。レーザ溶接には多数の加工があるので、それらを溶接対象に合わせて最適値を調査するのは時間とコストがかかる。本研究では、OCT画像より教師データを作成し、OCT画像データの良し悪しと加工条件を機械学習することで、溶接状態の自動判断とフィードフォワード制御による自動最適条件探索を行う。それによりレーザ溶接条件の決定プロセスの効率化を行う。さらに、レーザ加工中にもOCT計測を行い、機械学習による加工システムへのフィードバック制御を行う。 石井教授は「今回の研究で目指しているのは、従来品に比べて計測速度が10倍以上速く、機械学習機能が導入されたシステムの開発です。これが実現できれば、形状などの情報、全体の挙動がより詳しくわかるようになります。情報が集まれば、より細かい制御も可能となります」。 「製品化はまだまだ先の話になりますが、現段階で『計測』に関しては研究が完成しつつあります。実際にレーザ加工を行っている研究者やメーカーなどの意見も聞きながら、現場で使いやすいもの、役立つものをつくっていけたらと思っています」と、研究目標について語っている。うよりは『ビジネスプラン』といった意味合いの方が強いです。学生の持つ研究テーマの内容が1人の先生とぴったり合うというわけでもないので、1人の学生の研究に複数の先生がサポートするといった形式をとっています」。 「当大学に入学してくる学生には、企業から派遣されて来ている学生と、新たに光関連の会社を起業する予定で来ている学生とがいます。当大学はスタートアップ企業を育てていくインキュベーター的な役割も兼ねており、設立以来、20社以上の会社が学生の手により誕生しています。現在、企業に所属している学生と起業を目指す学生の割合は8:2で、企業に所属している学生の方が多くなっています」。 「光技術の産業用途というとレンズメーカーや、レーザメーカーでの活用を想像されるかもしれませんが、自動車部品を製造している会社や、光産業への新規参入を目指す企業から派遣されてくる学生もいます。学生たちは基本的に『個人』として来てくれていますが、『会社から学生を預かっている』ことにはちがいがないので、そういった意味では、『研究所自体が産学連携している』といえるのかもしれません」と石井教授は語っている。9「研究所自体が産学連携している」 「普通の大学の場合、社会人ドクターは先生の持つ研究テーマを一緒に研究しますが、当大学の場合は学生自身が持ってきたテーマを研究します。そのため、『研究テーマ』とい

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