光産業創成大学院大学の石井勝弘教授設時からのメンバーである。 「北海道大学の助手をしていたときに、光産業創成大学院大学の准教授としてむかえたいというお話をいただきました。私自身、ずっと光の研究をしてきたので『光に特化した大学』というものに興味があり、移籍を決めました。当大学は『光技術を中心としたニーズとシーズの融合により、新産業を創成しうる人材の養成』に力を注いでいます。産学連携に力を入れており、基礎研究よりも、応用研究や企業との共同研究といったより現場にちかい研究を中心に行っています」。 「私の専門はあくまで光計測。そのため加工についてはあまり専門的な知識を持っていません。しかし、幸いなことに校内外のレーザ加工に携わっている方々からさまざまな意見・要望を聞かせていただける環境にいます。今回の助成研究もそういった方からのお話から始まりました」(石井教授)。8研究室訪問3光産業創成大学院大学 光産業創成研究科石井 勝弘 教授マイクロライダーによるリアルタイム計測と機械学習 光産業創成大学院大学 光産業創成研究科の石井勝弘教授は、天田財団の令和2年度「重点研究開発助成(課題研究)」にレーザプロセッシング分野で採択された。研究テーマは「マイクロライダーによるキーホール形状のリアルタイム計測と機械学習による評価」。 石井教授は1994年に北海道大学 工学部電子工学科を卒業後、1996年に同大学院 修士課程 工学研究科 電子情報工学専攻を、1998年に同大学院 博士後期課程 工学研究科 電子情報工学専攻を卒業、博士(工学)を取得した。1998年10月から2005年3月まで同大学 電子科学研究所 助手を務め、2005年4月に静岡県浜松市に創設された光産業創成大学院大学 光産業創成研究科の助教授に就任した。その後2018年4月に光産業創成研究科の教授に昇任し、現在に至っている。「新たな光産業を創成しうる人材の養成」 石井教授が在籍している光産業創成大学院大学は、2005年に浜松ホトニクスを筆頭とする複数の企業からの寄付により設立された博士課程のみの大学院大学で、学生は全員社会人という特殊な大学だ。石井教授は同大学の創レーザ溶接のリアルタイム診断と制御を目指す 今回採択された研究は、「マイクロライダーによるキーホール形状のリアルタイム計測と機械学習による評価」。 本研究では高速OCT計測を用いて、レーザ溶接中のキーホール内の3次元リアルタイムその場計測を行う。それにより、レーザ溶接中のキーホール内の3次元計測データのデータベースを構築し、深層学習を用いたレーザ溶接条件の迅速な自動最適化手法の確立と、レーザ溶接のリアルタイム診断と制御を目指している。現場で役に立つものをつくりたい 本研究の特色は2つ。 1つ目は「10MHz以上の高速OCT計測と、それを用いたレーザ溶接中のキーホール内部の挙動のリアルタイム3次元計測」。超短パルスレーザを長距離の光ファイバーなどの高分散媒質によりチャープパルスとして時間伸長し、その時間波形計測から1つの光パルスの分光計測を行う時間伸長フーリエ分光計測は、超短パルスレーザの繰り返し周波数(10MHzから10GHz)での計測が可能な高速計測技術である。石井教授はこれを応用することで従来のOCTの40「マイクロライダーによるキーホール形状のリアルタイム計測と機械学習による評価」レーザ溶接条件の最適化とリアルタイム診断・制御を目指す
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