天田財団ニュース No10
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H2次世代エネルギーキャリアからの水素製造イメージ❶❶❶大型合金膜のしわ/❷合金膜を用いた水素分離の原理/❸実験に使用するサーボプレス❷❷❸❸Inlet水素分離モジュール(V合金膜)Outlet7次世代エネルギーキャリア「異種金属の固相接合」などとなっている。熱分解反応器2NH3 →N2+3H2高純度水素供給水素透過膜大型合金膜を最適形状に成形する 本研究では、高い効率で高純度水素を取り出すことが可能な水素分離合金膜の形状最適化および成形技術を開発するため、合金膜のさらなる大面積化が必要である。しかし、合金膜を大型化すると水素透過後に合金膜にしわが発生、透過を繰り返す中でしわを起点に割れが発生し、水素分離膜としての機能を喪失してしまう。そこでしわや割れを回避するために、合金膜を最適形状に加工することが必要になっている。 本研究では、大型の金属箔を水素透過合金膜として、最適形状に成形するための手法の開発を行う。具体的には研究室で開発したパンチストロークや時間、荷重によってパンチ速度やしわ押さえ力を制御可能なサーボプレスを用いる。さらに、丸重ね板を用いた成形法をはじめとする、合金膜に背圧を与えながら加工する方法を併用して、大型合金膜の成形へ適用する。重ね板の材質や厚さ、加工中のしわ押さえ力のパターン、加工中の合金膜に作用する圧力に対する影響を明らかにし、その最適な加工条件を解明する。 研究成果として開発した技術により、しわや割れの問題を解決し、世界初の非Pd系水素透過合金平膜を用いた高純度水素製造への道を拓く。環境調和に向けたバックキャスト研究開発 「私が所属する名古屋大学大学院 工学研究科 材料バックキャストテクノロジーセンターは、ものづくり産業やグリーンビークル社会に貢献する材料テクノロジーの進化と若手人材育成を狙った産学連携の研究教育活動を行うことを目的に、工学研究科附属の研究センターとして2008年10月に発足しました」。 「名古屋大学工学研究科の材料系、化学系、応用物理系の関連7専攻などが協力体制を組み、当センターのメンバーを中心にして72研究室の教員と学生の協力のもと、Nature COE『21世紀COE:自然に学ぶ材料プロセッシングの創成』や第Ⅰ期知的クラスター創成事業『ナノテクを利用した環境にやさしいものづくり』などの成果を継承し、世界をリードする材料テクノロジーの拠点活動を行っています」。 「環境と人類の調和に向けたバックキャスト研究開発理念のもと、産学官一丸となり、材料テクノロジーを進化・発展させ、先導的部材開発を実現する地域密着型の研究開発拠点を形成するとともに、『バックキャスト』理念を備えた若手研究者等の人材育成を行っています。そのために、ものづくり産業との連携、工学研究科の研究室の頭脳結集をはかっています。本研究も民間企業を含めたものづくり産業との連携で進めていきたい」と、湯川准教授はこれからの研究への意気込みを語っている。FCVFCVFCVFCVEVEV貯蔵・輸送(NH3,MCHなど)

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