天田財団ニュース No9
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9陽に考慮し、エンブリオからの核生成、転位のダイナミクス、転位と析出物との相互作用をシステマチックに構築するものであり、学術的に極めて独創的な研究となっている。対策を実施し、7月過ぎからは大学の定める制約の下で研究・実験作業ができるようになりました。しかし、3密防止ということで研究室・実験室も『密接回避』を徹底、デスクには飛沫防止ガードを設置し、全員が同じ方向を向いて座るようにレイアウトを変更しました。研究中もさまざまな感染防止対策を行っています」と佐野教授は新型コロナウイルス感染症の教育・研究への影響と対策について語っている。❶❶❶短パルスレーザ誘起圧力波支援高速レーザ溶接法の研究を行う修士学生と学部学生/❷感染防止対策をして学生を指導する佐野教授❷❷研究室内で実験を行っている様子マルチスケールでの加工エネルギーの開発を目指す 佐野智一教授は1997年3月に京都大学 工学部精密工学科を卒業、同年4月に同大学大学院 工学研究科精密工学専攻へ入学、1999年3月に同校を卒業。同年4月に大阪大学大学院 工学研究科 生産科学専攻の助手に就任。2004年3月に同大学にて博士号(工学)を取得、2004年12月同大学大学院 工学研究科 学内講師、2007年4月同大学大学院 工学研究科 助教に就任。2008年4月に同大学大学院 工学研究科 講師を務め、2009年11月に同大学大学院 工学研究科 准教授に就任。2020年4月に同大学大学院 工学研究科マテリアル生産科学専攻 生産科学コース加工物理学領域の教授に昇任、現在に至る。 佐野研究室ではレーザ、およびアーク放電やプラズマを用いた材料加工プロセスに関する研究を行っており、エネルギーと材料間の相互作用について、実験とシミュレーションの両面から研究を進め、現象の解明や、加工プロセスの予測・制御、さらにはこれらの知見を駆使したマルチスケールでの加工エネルギーの開発を目指す教育と研究を行っている。新型コロナウイルス感染症による教育・研究への影響と対策 研究室には佐野教授のほかに助教2名、社会人ドクター1名、博士課程1名、修士M2、M1がそれぞれ6名、学部4年生4名の計21名が在籍している。 「今年度は新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響で、前期の授業はすべてオンライン授業になりました。今のところ、後期の授業に関してはオンライン授業、対面授業のいずれにも対応できるよう準備をしています。感染防止日本が先頭に立つ研究 佐野教授は「レーザ加工研究で日本が再び力を取り戻すには、独創的な基礎研究に基づく応用研究が必要です。本研究で実施するプロセス1とプロセス2はいずれもオリジナルな技術であり、世界に先駆けて実施しています。ドイツを含む諸外国では実施されていないため、日本が先頭に立って研究を引っ張るテーマとなりうると考えます」。 「さらに、この手法が確立すればレーザ溶接、アーク溶接、摩擦撹拌接合といった現行のさまざまな溶接法にも広く適用できます。それだけに自動車、航空機、鉄道車両などの幅広い分野への応用展開が期待できます」という。

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