天田財団ニュース No9
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くみこ16性質に関する研究、②高減衰能材料の創製および加工法における研究開発、③金属3D積層造形技術を用いた材料創製と特性評価、④繊維強化プラスチック(FRP:Fiber Reinforced Plastics)の新しいリサイクル技術に関する研究、⑤キャビテーション加工技術を用いた材料の表面改質――などの研究を行っている。岐阜工業高等専門学校の島本(田中)公美子准教授研究室訪問5岐阜工業高等専門学校 機械工学科島本(田中)公美子 准教授ニーズに合わせたオーダーメイドの材料研究 天田財団の2018年度「奨励研究助成(若手研究者)」にレーザプロセッシング分野で採択された岐阜工業高等専門学校 機械工学科の島本(田中)公■美■子■准教授は、2012年4月から2015年3月まで諏訪東京理科大学大学院 博士後期課程 工学・マネジメント研究科 工学・マネジメント専攻(西山勝廣研究室)に所属し、2015年3月に博士号(工学)を取得した。 同年4月から近畿大学 工学部 ロボティクス学科(京極秀樹研究室) 博士研究員、同年10月から2016年3月まで山口東京理科大学 工学部 機械工学科(吉村敏彦研究室)助教、公立大学法人化により同年4月から2019年3月まで山陽小野田市立山口東京理科大学 工学部 機械工学科(吉村敏彦研究室)助教として継続採用され、同年4月から2020年3月まで岐阜工業高等専門学校 機械工学科 講師、同年4月から同所属 准教授に就任し、機械工学科に所属する第3学年の学生49名(うち女子学生1名、留学生1名)の学級担任を務めている。 研究分野は材料学(特に機械材料学)、材料設計・材料テーラリング、粉末冶金、3D積層造形、キャビテーション加工。岐阜工業高等専門学校では、ニーズに合わせたオーダーメイドの材料研究(設計、創製、加工、提案、分析、解析など)として①ホウ化物系セラミックスの創製と機械的社会への貢献を目指す 島本(田中)准教授は「物質を構成する118種類の元素は、私たちの生活に密接に存在し、身の回りには金属、セラミックス、ポリマーなど、あらゆる材料があふれています。これらの材料は私たちの生活を支え、より豊かにするために創製され、製品として社会に羽ばたきます。不要となった場合には5R(Recycle、Reuse、Reduce、Refuse、Repair)され、社会を循環しています。材料研究では、使い手のニーズに合わせたオーダーメイドの材料設計や材料加工、材料提案により社会への貢献を目指します」と、機械工学科のWebサイトで述べている。高減衰能特性を持つアルミニウム合金の創製 今回の「奨励研究助成(若手研究者)」に採択された研究テーマは、「選択的レーザー溶解法を用いた高減衰能アルミニウム合金の創製と強靭化」。申請ならびに採択が決まった時点では、山陽小野田市立山口東京理科大学に在職中だったため、山口県産業技術センターなどの協力を得ながら研究を進め、岐阜工業高等専門学校に着任した後も同センターなどの支援を受けて研究を継続している。 アルミニウム合金は軽量で耐食性に優れることから、さまざまな分野の部品に用いられ、現在では部品内部に空気や水が流れる流路を形成するような複雑形状の部品が多くなってきた。従来、アルミニウム合金に制振/防振性(高減衰能特性)を付与させるためには、平板を矩形波状に加工し、クロス圧延を施すことで内部摩擦を大きくし、材料内部で多くのエネルギーを吸収させるという手法が用いられてきた。しかし、平板形状から加工を行うため、部品形状に依「育てていただいた先生方への感謝を忘れずに」ニーズに合わせたオーダーメイドの材料研究で社会貢献を目指す

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