天田財団ニュース No9
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13商用CAD(1)形状設計・点群のベクトル・帯番号・法線ベクトル展開図生成エンジン(3)ポリゴンメッシュ生成(可展面近似)点群生成用CAM(Powerd by Kodatuno)IGES dataTXT data(2)点群生成(4)展開なっています。現在、熱硬化性CFRPの加工に要する時間は短いサイクルタイムを持つRTMでも5分程度かかっています。深い絞り形状や複雑形状を持つ場合には、プリフォーム材などの予備成形品の製作にさらに時間が必要になります」。 「また、自由曲面など単純な数式などでの表現が難しい形状に対しては予備成形品の設計、製作手法が確立されておらず、作業者の経験に頼っているのが現状です。成形プロセス加工で理想的なのは、連続繊維で複雑形状を短時間で成形できるようになることです。CFRP材料のさらなる用途拡大のためには、この問題を解決する必要があります」。 「そこで、本研究では炭素繊維の連続性を保ち、3次元に賦形後に目的の力学的特性を持つ繊維の方向を維持できる2次元プリフォームを用い、3次元CADデータに基づいて賦形後に目的の繊維の方向、および連続性を維持できる2次元プリフォームの設計手法およびCAMシステムを開発。真空バッグ法による簡易成形実験によって、単層ごとである熱硬化性テーププリプレグを用い、有効性を確認することを目指しています」。 「2次元プリフォームの製作を手作業で行っていること、複数層をプレスして形状全体での繊維の連続性と力学的特性を満たすこと、プレス加工条件を正確に調整すること、および賦形後の形状評価と成形条件の改善に関しては未実施です。これらを達成しなければ有効なCFRPのプレス成形法としての提案は難しい。次のステップでの達成を目指し、さらなる考察が必要と考えています」と語っている。リプレグを用いた基礎成形実験は先行研究で達成しており、本研究では新しい装置のもとで熱可塑性CFRPを用いる。 「第2フェーズ」では、熱可塑性連続繊維テープセミプレグを用いたCTSによるプリフォーム製作システムを構築。本研究では熱可塑性連続繊維テープセミプレグを用いることのできるCTS装置を構築、CADデータに基づいて自動的にプリフォーム材を製作する。 「第3フェーズ」では、成形条件を最適化。装置により製作した予備成形品を用いて成形実験を行う。実験に用いる材料は、構造材への用途として熱硬化性、または熱可塑性のセミプレグ、加飾用途として熱可塑性の織物シート材料を用いる。成形対象の形状としては円柱や円錐台などの可展面を持つ形状を用いる。 これらの形状は一方向に対してのみ曲率を持っており、曲率の値・曲率の方向に対する繊維配向による成形時の繊維の挙動を観察することが可能である。繊維の挙動はCAM上での設計時と成形後の形状(各部の位置)を比較することで評価する。成形後の形状は、形状測定と画像により測定する。これらの結果を用いて、成形結果と成形条件の相関を取ることでパラメータの影響を定量化する。また、3次元曲面を用いた成形実験として水滴形状などの3次元曲面形状に対して成形実験も行う。 連続繊維材料を配置するには以下の3つの条件を満たすように近似する。1. 任意方向への切断線の配置が可能である。2. 繊維の連続性を考慮し、帯状面の集合へ近似する。3. 型上に配置するため、CADデータに基づく。 以上の条件を達成するため、田中准教授はCGやペーパークラフトの分野で研究されてきた手法を応用している。このような曲面形状の可展面への近似手法や平面への実長展開手法のCAD/CAMへの応用は例がなく、独創的な研究となっている。展開図を用いたCFRP2次元プリフォーム生成CAMシステム熱可塑性CFRP2次元プリフォームを用いた成形実験(成形温度の差)研究は3フェーズで段階的に実施 研究開発は3つのフェーズにわたって行う予定だ。 「第1フェーズ」では、成形結果に対する条件の影響の定量化のため、予備成形品製作時の各パラメータに対して予備成形品の形状に再現性を持つ予備成形品の製作用装置を製作。すでに、熱硬化性CFRPの半硬化材料であるトウプ

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